今日の小論文の授業は最後のテスト演習だった。

先生が、日本と国際社会の関わり、平和がテーマ、と予告していて、なおかつラストだから大物の問題が来るだろうと思われたから、あの問題について書かせるつもりだろう、とうすうす気づいていたのだが…予想通りだった。

日米安保と沖縄

とんでもなく難しい、けれど避けては通れない問題だ。

ラストでもあるし、再現答案を載せてみようと思う。

課題文は内田樹教授のブログ「内田樹の研究室」2010年5月7日の記事。加えて参考資料として沖縄県ホームページと政治経済用語集からの抜粋。

問題の指示は、課題文の主張を賛否を含めて論評し、現代の日米安保体制について、あなたの考えを述べなさい、と。

私は次のように書いた。({}内はブログへの転載時に追加。)

―――――――――

{筆者の}「国内にアメリカ軍基地を存続させる限り日本は主権国家としての条件を全うしていない。基地を存続させるべきと主張するなら、日本は属国であるから…、と述べるべきだ」という主張には賛成する。

同じ第二次大戦の敗戦国のイタリアは国内にアメリカ軍基地があるが、「お昼寝の時間」中は訓練の中断を認めさせるほどの強い外交の結果であることを考えると、今日の日本は属国意識に支配されていると言わざるを得ない。


では、その属国状態から脱出し、米軍基地の撤退を実現できるかというと、それは困難だ。事実、{誠に遺憾ながら}日本は属国だからだ。

第一に日本は軍事的に独立する能力がない。武力を完全に放棄した国は例えばアイスランドがあるが{それは軍事的に急拡大する国が周囲にない人口規模の小さな大西洋の孤島の話で}、日本が位置するのは不安定の弧の東端だ。{だから実力が必要だ。

しかし}あるテレビ番組の政策討論で「中国は年に何十%も軍事費を増やしている、それなのに日本は防衛予算を削減するとは何ということか」と主張していた。

しかし、少子高齢化が進展し、社会保障費が年々増加している日本が、毎年10%防衛予算を増やすのは不可能だ。{軍隊には「若くて体力と根性がある男」が不可欠だが、今の日本にはそんなものは石油以上の希少資源だ。}

だから、日本は軍事的に独立できない。

第二に食料と経済の問題がある。日本は食料のほとんどを米国からの輸入に依存し、肥料や農業機械の燃料さえ輸入に依存している。{国内の農地は荒廃を極めている。}

また日本の経済的地位はドルを基軸通貨とする国際貿易に依存している。{これまで、日本はアメリカにとっても不可欠な存在だった。}しかし今やアメリカは新た巨大な農産物市場と工業製品供給地を獲得した。

日本は米国の逆鱗に触れればあっという間にお払い箱にされる可能性があり、そしてそれは年々高まっている。

以上より、日本は{強い}パートナーが必要で、同盟相手として米国は最も合理的な選択肢だ。


その上で現状の日米同盟の問題点を考える。すると、最大の問題は沖縄の重すぎる負担、いや被害だ。無論、理想として、これは米国基地の移設によって軽減するべきだ。

しかし、

――ここでまさかの時間切れ

内田氏が言う、フィリピンや韓国での基地縮小のように米国が本土へ基地を移転するのは困難だ。まさにそれらの基地を縮小したために沖縄は極東の絶対に譲れない拠点になってしまったためである。

沖縄の基地の移転が不可能だとすると、私を含む本土は、沖縄の人々の怒りをいかにして鎮めることができるのか。

それには、無関心を打破することが第一だと思う。

今回の普天間騒動まで、本土は基地に圧迫された沖縄の叫びを聞きながら、日常生活ではそれを忘却の彼方へと押しやり、基地地代や地方振興というバラマキで封殺しようという神経を逆撫でする態度でいた。沖縄の負担によって得られた平和と繁栄を謳歌しながら。

この構図は騒動後も、認知は進んだが全く解消していない。

明治以降、第二次大戦、米占領下、そして現在、日本という国家はいかに沖縄に多大な犠牲の歴史を強いてきたか、それを国民的に広く深く共有するべきだ。その際、学校教育、特に沖縄の意見を反映した歴史教科書は必須だろう。

それが沖縄の犠牲によってしか存続できない社会を築いてしまった、ないちゃー(内地人)の最低限の責務だろう。

その上で、軽減可能な被害、例えば流れ弾や予告なしの深夜の離着陸訓練、をなくす常日頃からの運動に多くの人が参加すべきだ。

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と、こんなことを書いてみたのだが…、論理はブレるし、

空論で、これなら私たちがポッポだの宇宙人だの罵って追放したのの意見の方がましだ。

今の私はもうこれでお手上げだ。



11/27追記

解説授業を受けたところ、これは空論であるのみならず解答のポイントも全てかすってすらいない、ということが分かった。受験の回答としても最低レベルだ。