浪人生のとき、友人に勧められ庄司薫さんの青春4部作を読みました。特にその中の『白鳥の歌なんか聞こえない』が好きでした。
誰もが魅了される知性に富んだ一人の老人の死に直面して混乱する由美。由美を救おうと自分と向きあう薫。その薫に共感し、何度も読み返しました。当時読んだ本(中公文庫)は今もとってあります。紙は変色し、活字も小さく、時の経過を感じます。あちこちに線が引かれ、書き込みもあり、当時の気持ちが呼び起こされます。人間の“生と死” という永遠のテーマを、“青春”という衣で包んだ作品だと思います。
今の高校生はこの本にどのような感想を持つでしょう。
