2011年10月4日の
曹洞宗の国際シンポジュウムでお会いした、
上田紀行(うえだのりゆき)さん著書のご紹介
上田紀行 文化人類学者 医学博士。
1958年東京生まれ。
東京大学大学院博士課程修了。
東京工業大学大学院准教授
「スリランカの悪魔祓い」
他者を癒す・世界を癒す・自分を癒す
他者とのつながりの回復の中で
人は、はじめて、癒されていく。
「ダライ・ラマとの対話」
どうしたら本当に、利他的な社会、
愛と思いやりに満ちた社会を作れるのか?
10月4日シンポジュウムの
講演の中にダライ・ラマのエピソードを
お話ししてくださいましたのでご紹介いたします。
アメリカの大学にダライ・ラマが講演に来た時に
学生がダライ・ラマにとんでもない質問をしたのです。
ダライ・ラマの感動の講演の後に、学生が何であなたあは
そんなにポジティブでパワフルで幸せそうなのですか?
何故ならあなたのチベットは、50年前に中国に侵略され
植民地のようにされ、50年間も国に帰れないあなたは根なし草になり
またその50年間の間に120万人ものチベットの人達が殺され、
あなたは絶望の淵にあるべき人のはずなのに、
何であなたはそんなにパワフルに私たちに元気を与えてくれて
パワーにあふれているのですが?と質問をしたのです。
そんな質問をしたからその場はしーんとみんなフリーズしてしまったのですが
その時のダライ・ラマの答えは、私たちの仏教は、
“縁起”ということに論理に中心をおいているので、
全てのものには理由がある、
50年前たしかに私たちに対して中国は大変にひどいこと
侵略をしてそのことについては非難しなければならないが
しっかしその時のチベット社会は、
お坊さんは自分の檀家さんの閉じたコミニティに対して
話が出来ればいいという変異的な存在でしたので
その中で檀家さんもマイナスをみるということで
だから世界の人がどこで苦しんでいるとか
なんで苦しんでいるとかあんまり気にかけていなかった
だから中国に攻められてチベットを救ってくれと
世界に言ったけれども
なんだこんなチベットなんか救わなくても
別にいいじゃないかと世界から無視されて
そうしたら私たちは占領されて
しかし、それから私たちはこの土地を離れてから
ものすごく勉強し私もこのチベット密教が
思わぬ方向でこの20世紀、21世紀のかかえている問題に対して
対処できるのかといろいろ考え
やはり仏教がこの問題に対して大きな力づけができると確信して
私たちは世界に発信して、ノーベル平和賞もいただいた
私たちの“縁起の考え方”について、
悪い種を蒔いてしまえば悪い結果が慢心してしまい
しかし、良い種を蒔いていえばそれは必ずや良い結果
そして一歩前進していくことになると確信している。
ですから、私は絶望的な状況の中でチベットを
いつ解放されるかわからない中でも
しかしこうやって講演をしている中で
あなたがそんなに感動してくれて
こんなにいい質問をしてくれて
今日のこの出会いということに関しては
絶対によき種であると確信を100%もてるので
そのすばらしい出会いと、
今日のよき種をお互いに蒔いていくことに対して
100%ハッピーになり、こんなにうれしそうだし
今日私は、みんなに逢えてこんなに幸せなんですよ!
といったのです。
今日がどんな状況でも、
明日につながるよき種を蒔くという“縁起”の中に
すばらしいことを
語り合えたことに100%幸せなことであることを
喜んでいる。
この喜びに満ちたことでダライ・ラマの絶望的な中でも
幸福に、ハッピーそうにしていることを私は知り
私もこのように講演や会の中で
よき種を蒔いていくことが
われわれが一歩前進して困難な中でも、
幸せに生きて行くことが出来るではないかとおもっています。
と 上田紀行さんはお話ししてくださいました。
あまりにもいいお話しでしたので
皆様とシェアしたく掲載いたしました。
スタッフS