子どもは
気持ちをうまく言葉にすることが出来ないから
小さいうちは手が出たりする

介護していても
それはおなじこと

父もたぶん言われたことは
理解できている
でも自分の気持ちを言葉に出来ない
だから手がでるのだろうと
それは容易に分かるのだけど
ついつい本気で
対抗しようとしたり
無理やりこちらの思うように
動かせたいと思ったりしてしまう

今日も私の左腕
思いっきり叩かれた
けど今日は冷静に
叩かれて赤くなっている手首を見せた
「ほら赤くなって痛いよ」
そう言って近づけたら
父は何も言わないけれど
それ以上叩いてくることもなかった
父も分かっている
娘を叩いたこと

父はこの1週間で
食が細り一段と小さくなった
そして思う
横向で寝ている姿を
真向かいで見ていると
父は今この瞬間
何を考えて
何を思っているのだろう
たとえ認知症であっても
今この瞬間
思うこと考えることはある
それは何なんだろうと

家族はきっと父の想いを
推し量ることさえ出来ていない
自分がやりたいことをやれない
もどかしさや腹立たしさ
伝えたいことを伝えられない苛立ち
そして分かって貰えない辛さ

でも日々の生活の中で
それをゆっくりじっくり
受け止めてあげる余裕は
家族にはない

介護が戦いなのは
介護する側も
介護される側も
伝えきれないことがあるからかも知れない

余生を笑って過ごして欲しい
それが娘としての願い
でも今の環境では難しい

自宅介護の限界が
果たしてどこなのか
まだやれるかもしれないと
疲弊してしまう前に
他人様の力を借りること
その大切さを感じている