前回の続きです。
コーラスは音のパズルみたい…
パズルを上手にできたから誰かに聴いてほしい、と思うのは自然なことです。でも、そういう気持ちでステージに立って、うれしいのは、聴いてもらう側です。
聴く人は、少しなら付き合ってくれて、喜んでもくれるでしょう。でも、30分1時間となれば、もう許して…となる、それも自然なことです。
ずっと聴いてもらえるためには、その音楽に聴く人の心を動かすものがなければなりません。聴いて良かった、もっと聴きたい、そう思ってもらえるのは、その音楽が聴く人の何かを動かすものになり得た時です。
それが何かといえば、それは音楽そのものの中にあります。
曲を作った人は、何かを伝えたい、多くの人とそれを共有したい、そういうものがあって作っているはずです。演奏する人も、そういうものを感じたからその曲を演奏したいと思ったはずです。
作り手の思いをどれだけ読み取って、伝えられるのか…音楽を演奏する人が全力で取り組むべきものはそこにあるです。
練習を重ねることは大切ですが、パズルを上手に解くことばかりにエネルギーを注ぎ込む練習ではなく、曲の作り手が伝えたいものを受け取り、どのように伝えるかを全力で考える、そういう練習を積み重ねたいのです。