一般病棟に移ることになった日に、「部屋の人はみんな、赤ちゃんがNICUにいる人だから」と言われたのだが、どうやらそれはその日たまたまだったらしい。
あてがわれた部屋は、家族や面会の人が入れない母子同室の部屋だった。
(母子同室の部屋に、母子同室できない人を入れるってどういうことなのか…)
部屋にいる人が入れ替わって、この日から普通に母子同室する人がいるようになった。
人と比べてもしょうがない、立場は人それぞれとわかってはいるものの、これが思った以上にキツかった。
時間になると看護師さんが赤ちゃんを連れてきて、お世話をしている。
赤ちゃんの泣いている声がおもいきり聞こえてくる。
向かいの部屋から聞こえてくるのは気にならないのに、どうして同じ部屋だとこんなにきついんだろう。自分でもよく分からなかった。
入院中は24時間面会可能と言われていたので、消灯すると逃げるようにNICUに行くようになった。
保育器の前で「ごめんね…」とつぶやいて泣いていた。
でもこれは、赤ちゃんが可哀想でないているんじゃなくて、自分が辛くて泣きたいだけなんだなあと分かっていた。
相変わらず、自分のことばかりだった。
赤ちゃん頑張ってるのに、本当にどうしようもない親だった。