私は高校生の頃から対人関係が上手くいかなくなってうつ状態に陥り、引きこもるようになりました。
ある日、トランスジェンダーという性別を変えて生きる人たちのことを知りました。特に女性は男性ホルモンを投与すると男性の姿に変貌するといいます。性別が変えられる…とても魅力的に感じました。これまでの自分を捨て去り、別の自分に生まれ変われるような気がしたのです。しかし、特に性別に違和感を持ったことはありません。調べてみると、性別違和の診断がなくても男性ホルモンを投与してもらえる病院があることを知りました。勇気を出してその病院へ行き、男性ホルモンを打ってもらいました。

しばらくすると全身の毛穴が広がるようなゾクゾクとした感じがあり、続いて喉の奥がヒリヒリするような違和感がしてきました。これから変化していくのだと思うとワクワクして憂鬱な気分もどこかへ吹き飛んでしまったようでした。

まずは生理が来なくなりました。わずらわしいものがなくなったのと、女性の要素が1つなくなったことが心地よく感じました。そして日にちが経つにつれて今までの高さの声が出にくくなり、徐々に声が低くなっていくのを感じていました。私は気を良くして、男性ホルモンを今後も定期的に打つことに決めました。

喉の違和感はその後も続き、日に日に今までの高さの声が出しづらく、声が低くなっていきます。ある時録音して聞いてみると、すっかり男性のような声質になっていました。出そうとしてももう前の声は出せません。また1つ女性の要素がなくなったことに満足感を覚えました。

元々体毛は薄い方で、すね毛の処理もほぼ必要ないほどの綺麗な足でした。しかし、徐々に産毛が長く太くしっかりとした毛になっていき、次第に太腿にも生えるようになりました。私はその過程を楽しんでいましたが、気付いた時には毛がモジャモジャと生えた汚らしい脚になっていました。陰毛も範囲が広がって下着からはみ出て太ももの毛と繋がっています。まるで自分の脚じゃないみたい…また1つ女性の要素がなくなりました。

顔にも変化がありました。皮脂が急激に増えてすぐにテカってしまうようになったし、ニキビが次々とてきてニキビ跡が増えました。毛穴も大きく広がって女性らしいきめ細やかさもなくなり、いわゆる汚肌になってしまいました。その上、ついに髭が生えてきました。すね毛と同様、産毛状態から次第に濃くなり、範囲も広がってきています。次第に剃っても跡が残ったり毛根が透けて青みがかってしまうようになりました。こうなると一気に男性らしくなったように見えます。また1つ女性の要素がなくなりました。

私は元々女性としては見た目が良い方だったのですが、女性らしい要素が次々と破壊されて男性化されていくのを、楽しく心地よく感じていました。そしてふと思いました、これは自傷行為なのではないか、と。とは言え、男性らしくなった顔や体には満足していて、後悔はありません。いずれお金が貯まったら乳房切除もしたいと思っています。

 

 

※この物語は実話から発想を得たフィクションです。ホルモンの効果には個人差があり、全員がこの主人公のような変化をするわけではありません。また、不可逆な変化を伴いますので投与は慎重に。何があっても自己責任となります。