高校時代、僕は身体能力が高く、体育では成績優秀でいつも5段階評価の5をもらっていました。部活動ではサッカー部に入り、レギュラーメンバーとして活躍していました。

しかし、いつの頃からか徐々に体力の低下を感じるようになりました。最初は気のせいかと思っていましたが、走っていると以前よりスピードが出ていないと感じたり、前より疲れやすくいと感じるのです。どうも体に脂肪が増えてきたようで、体重も増えているし、食べすぎて太ったのだろうと思いました。しかし、決定的な異変が現れました。胸が膨らんできたのです。思春期にはそのようなこともあると理解していました。しかし、太ももから尻周りにかけて脂肪が増えてぷにぷにとしてきたのです。これはホルモン異常に違いない。すぐに病院で検査をしました。すると、女性ホルモンが多く男性ホルモンが減っていることがわかりましたが、原因は不明です。これでは様子を見るしかありません。

様子を見ているうちに体育の成績も下位に転落し、部活動でもレギュラーメンバーから外されることが増えました。徐々に胸の膨らみは大きくなり、そのままでは乳首が目立ってしまったり、走ると揺れて痛いので困りました。しかも、着替える時にクラスメートやチームメイトにそんな胸を見られてからは、触られたりからかわれることが多くなり恥ずかしい思いをしました。ホルモンバランスの不安定さのせいか、精神的に落ち込むことも増えました。

ある日、忘れ物を取りにロッカールームに行くと、僕の鞄から水筒を取り出し、何かをしている部員がいました。僕は急いで駆け寄って問い詰めると、女性ホルモン剤を入れていたことを白状しました。レギュラーに選ばれるためにデキる奴を潰したかったのだそうです。後日、相手の親も含めてきちんと謝罪があり、未成年でもあるので事件化はせずに示談としました。しばらくすると体力は戻りましたが、胸の膨らみは少ししか戻らす、女性化乳房という状態になりました。手術をしなければ元には戻らないようです。そこまで大きくはなかったのでそれほど難しくない手術で乳房切除ができるというので、僕は手術を受けることを決めました。こうしてようやく元の姿に戻ることができたのです。

現在は何事もなかったかのように過ごしていますが、未だに女性の胸を見る度にこの事件のことを思い出して興ざめしてしまうのです。

※この物語はフィクションです。ホルモンの効果には個人差があります。また、他人にホルモン剤を盛ることは傷害罪になりますのでご注意下さい。