30代も半ばに差し掛かり、いわゆる「おじさん」と呼ばれる年齢になってきた。皮脂が多いことで体臭が気になったり、青髭が気になったり、薄毛が気になったり。そんなある時、おじさん化を止めるために女性ホルモンを接種している人たちのことをネットで知った。

 

女性ホルモンの効能は魅力的だった。彼女もいないし結婚は諦めていたので、生殖能力がなくなっても問題はない。胸はいらないが、そんなに大きくはならないだろうと都合の良い方に考え、女性ホルモンを摂取することにした。女性ホルモンは個人輸入代行で簡単に手に入れることができた。サプリメントのような気分で気軽に飲み始めた。ただ、注射に比べて肝臓に負担がかかるので、お酒は控えることにした。

 

効果は徐々に現れた。皮脂が減って肌がきめ細かくなってきた。これが女性ホルモンの美肌効果か!同時に、性欲が減退し、自慰行為をすることが少なくなった。無駄な時間を過ごさずに済むと考えると良いことだろう。抜け毛も減ったような気がする。短期間で得られる効果はそれくらいだった。

 

数ヶ月続けると、脂肪の付き方が変化し、顔や体の肌触りが柔らかくなってきた。また、体毛が薄くなってきて、髭の伸びも遅くなった。抜け毛が減り、髪のうねりもなくなってきたようだ。体臭も変わったのか、枕の臭いが今までと違うように感じた。ただ、睾丸が萎縮して精子が作られなくなったのか、精液が透明になった。

 

そして危惧していた胸のふくらみ…腫れて痛みのようなものが続いて、膨らみができてしまった。ネットで見た真性女性化乳房の画像にそっくりだった。乳首が目立ってしまうので、薄着の時は絆創膏やニップレスで隠すようになった。隠せる程度で済んでいるが、急いで走ったり階段を降りたりすると、ぷるぷると揺れが気になることもある。

 

その後も変わらず男性として仕事をしているが、以前より若く見られるようになったようだ。気になっていた薄毛も回復してきた。髪を伸ばしたりヒゲ脱毛をすれば女性っぽく見えるのかもしれないが、そのような趣味はないので、おじさん化を止められたことで満足している。