ALAの過去話②中学生編 | Alas estrellas ***30代選択子なし夫婦の徒然雑記

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産まない選択をしました*親友で恋人で一番の理解者である夫と、のらりくらり気ままに暮らす30代兼業主婦*本や映画のオススメなどをゆるーく語っています。

ALAです。

前回に引き続き、子供の頃のお話をつらつらと。。。
今回は、中学生編です。


あしあとあしあと猫しっぽ猫からだ猫からだ猫からだ猫からだ猫からだ猫あたま風船


自分の中にある性別違和に、感覚的にじわじわと気づき始めていた小学校時代。
女子として扱われることへの違和を感じつつも、恋愛対象は男子。でも、夢に見るのは男として女子と恋愛する自分。現実と夢とのギャップに戸惑いながら、小学校を卒業し中学に入った。


中学は制服で、当然女子の制服を着ていた。なぜか、「スカートなんて嫌だ、男子の制服がいい」とは思っていなかった。スカートだろうがパンツだろうが、そもそも制服というものの野暮ったさ、着せられている感が気味悪かった。
何を着ていようが、自分が自分であることは変わらないし、今まで通り、やりたいことをやり、話したいことを話せばいいと思っていた。

でも、現実はそう甘くなかった。
女子の制服を着ている以上、何をしようと、自分の肩書には「女子」がついてしまうようになった。女子なのに、勝気でリーダータイプ。女子なのに、お調子者。女子なのに、女子なのに。。。
中学生。思春期、二次性徴期の、性への関心が否応なしに高まる気難しい時代ではあるけれど、それ以上に、"制服"の持つ「ビジュアルの力」は絶大なような気がした。スカートを履き、女子カラーのネクタイを締めている限り、何をしても女子に見えてしまう。女子であることから逃れられない。

追い打ちをかけるように、授業も男女別で分かれるようになる。女子は家庭科で編み物、男子は技術でステンレス加工。中学という環境は、想像を遥かに超えて、性別の違いを常に突きつけてくる。
決定的な出来事があったわけじゃない。それでも、「お前は女子だ」と言われ続けるストレスは静かに積もり積もっていき、自分を蝕んでいた。大人たちが、環境が押し付けてくるものは、自分にそぐわない。自分のような人間もいるのだから、大人や慣習の言うことはいつも正しいとは限らない。
「権威を疑え。」そんな精神も徐々に育ち、自分はさらに大人にとって扱いづらい子供になっていった。


部活は、女子バスケ部に入った。"女子"部であることにはなぜか違和感はなく、男子バスケ部に入りたいという気持ちも起こらなかった。
そこで、自分は初めて、女子に恋をした。
相手は、バスケ部の3年生のT先輩。背が高くて、ショートヘアで切れ長の目、クールでイタズラ好きの、いわゆるイケメン女子だった。ディフェンスが得意で、ゴールを守り味方の攻めを援護する、縁の下の力持ち。めちゃくちゃカッコよくて、すぐに夢中になった。
T先輩を好きでいるとき、自分の性自認は完全に女性だった。女子として、女子であるT先輩を好きだった。入学直後、女子の制服を着ながらも頑なに男子として振る舞っていた、違和感丸出し時間が嘘だったみたいに、自分は女子になった。

女子として女子を好きになることに、戸惑いは全くなかった。ある日、2年生の先輩から「好きな男子いるの?」と聞かれ、普通に「女性に魅力を感じます」と答えた。
「衝撃的なこと言うね、レズじゃん」と言われたけど、まぁそう捉えるならそれで仕方ないなと思った。だって、男子よりT先輩のほうがずっとカッコいい。面白くて、強くて、優しい。素敵な人だと感じたなら、性別なんて普通に関係なくない?その程度にしか感じなかった。

自分がT先輩を好きなことは、一瞬でチーム中に広まった。扱いは全く変わらなかった。皆のする恋愛話の中に、何も特別なことなく自分のエピソードも混ぜてもらっていた。
自分の気持ちは当然、T先輩の耳にも入っていた。引退間近で最後の大会に臨む3年生と、ひたすらドリブル練習の1年生。絡みはほとんどなかった。それでも、部活の休憩中に、突然T先輩が襲いかかってきて押し潰されたり(笑)、廊下でちょっかい出されたり、びっくりするくらいT先輩のほうから何度も絡んでくれた。そのたびに心臓止まりそうになった。


T先輩に告白することはなかった。
先輩の隣にはいつも、バスケ部の部長がいた。部長は、上白石萌歌に似ているアイドル系美女。柔らかい笑顔が可愛くて優しくて、でも部長としてしっかり厳しくリーダーシップを取っている、まさに完璧な人だった。
T先輩は、いつも部長を後ろで支えて、部長が辛そうなときにぽんと肩を叩く、精神的なサポートをしている存在だった。部活も一緒、クラスも一緒。廊下で会うときも、グラウンドで体育をやっているときも、いつもT先輩は部長と2人でいた。T先輩が自分をからかうのを、部長は後ろで、可愛すぎる笑顔でコロコロと笑いながら見ていた。
2人は親友だったんだと思う。それでも、自分は部長に敵う気が全くしなかった。T先輩と部長はお似合いのカップルだな〜と思っていた。部長ほどのスーパーアイドルが側にいて、自分が太刀打ちできるはずもなかった。むしろT先輩と部長が、卒業後も上手くいくといいな、なんて願っていた。卒業後、T先輩と部長は揃って同じ高校に進学した。


T先輩が卒業して、自分はまた何度か気になる男子ができた。でも、何だか違う。男子に対しては、好きになるきっかけも、その後の気持ちの育ち方も、何もかもが軽い。単純に、顔立ちがカッコいいと思うだけ。それだけだったから、気持ちがすぐに萎んでしまう。
3年のときに好きだったのは、成績が学年トップの男子だった。受験を間近に控えた時期、テストで1位を取りまくる彼に尊敬の気持ちを持った。今考えれば、好きだったかどうかも怪しい。顔が好きなわけでも、性格が好きなわけでもなく、ただ「成績良くてスゴい」という気持ちだけだった。

彼にはクラスメイト達の協力のもと自分から告白もした。けど、告白するときになって初めて気づいたことがあった。
自分は、彼と付き合いたいと一切思っていなかった。
告白なんだから、呼び出した以上は「付き合ってください」と言うしかない。けど、自分は全然付き合いたいと思えない。結局お断りされたけど、全くショックはなかった。無意味な時間に付き合わせてしまって、彼に申し訳ないくらいの気持ちだった。


彼だけじゃない。小学校のころ好きだった相手にも、T先輩に対してもそうだった。好きでも、付き合いたいと思うことはない。告白の機会が近づくほどに、気持ちが急速に萎んでいく。告白しなかった相手への気持ちは、ずっと「恋だったもの」として記憶に残り続けるのに、告白してしまった相手への気持ちは「果たして自分は本当に好きだったか?」という疑問に変わってしまった。
多分、中学生の自分にとっての恋愛は、相手への気持ちよりも、友達と話すのに一番盛り上がって楽しい「ネタ」的なものだったんだろう。
それでも、T先輩への片思いだけは、今でも自分の中で格別なものとして残っている。


自分の志望校は、女子校だった。学力レベルに合う学校が女子校しかなかったのが一番の理由だったけれど、自分自身、女子校への抵抗感は一切なかった。
女子だけの環境なんて、普通に考えれば恐怖でしかない。混じれる気がしない。それなのに、志望校はむしろ自分にとって憧れの場所だった。県内トップクラスの、有数の進学校。沿線の中学に通う女子のトップだけが集まってくるエリート集団。

そこに入れば、きっと人生が変わる。
なぜか、そんな予感がしていた。そのためだけに、遊びを全て諦められるくらい、強烈にその予感を信じていた。そもそも「遊びたい」気持ちすら起こらなかった。志望校に合格すること以外の欲求なんてなかった。

今思えば、自分の直感はなんて正しかったんだろう。


違和感にまみれ、ストレスに侵食されていた中学時代のあと、自分はついに人生最高の輝きを放つ宝物の3年間を迎えることになる。

栄光の高校時代。


続きはまた次回。。。

以上、中学生編でした。