S.S.T.BAND「I CAN SURVIVE」(1992年)
1992年のF1中継で、リカルド・パトレーゼの優勝時に流れました。パトレーゼはモナコGPが初優勝でした。

モナコGPの舞台はモンテカルロ市街地コース。

6コーナーはフェアモントヘアピン(旧ロウズヘアピン)。F1で最も速度が遅く、唯一ハンドルを全力でまわすコーナーです。普段は市街地なので、上の画像のように普通に自動車が走っております。

道幅は狭く、最高速を伸ばすDRSゾーンはあるものの、直線が短く、まともにやり合ったら、まず抜けないサーキットです。
その為、スタート順位を決める土曜日の予選が非常に重要になります。

土曜日の予選は史上最高といっていい激しいタイム更新のラッシュでした。
最終的にポールポジションを獲得したのは、一番最後にタイムアタックをしたフェルスタッペン。モナコでは初めてのポールポジションとなりました。
対照的にチームメイトのペレスはQ1でクラッシュ。抜けないモナコで最後尾スタートという厳しい結果となりました。
直前までトップタイムを記録していたアロンソは2位。3番手タイムを記録したルクレールは、アタック終了後に、トンネルでノリスのタイムアタックを妨害してしまい、予選終了後に3グリッド降格のペナルティが下されました。
代わりにオコンが3番グリッドを獲得しています。
今回、大幅なアップデートを施したアルファタウリは角田裕毅選手がQ1を2位で通過する好調ぶり。Q2は7位で通過。最終的に9番グリッドを獲得しました。モナコでのトップ10スタートは自身初。
チームメイトのデ・フリースも自己最高位の12番グリッドを獲得しています。

今回の使用タイヤは、6種類あるうち最も軟らかいC3(ハードタイヤ)、C4(ミディアムタイヤ)、C5(ソフトタイヤ)の組み合わせ。決勝では2種類以上のタイヤ使用が義務付けられます。ただし、雨が降ったら、タイヤ使用の縛りは無くなります。
決勝はミディアム、またはハードスタートでの1回ストップが主流と見られています。

レーススタート。
上位陣に順位変動は無く、角田選手も9位を守りました。

2周目。
ペレスがピットイン。ハードタイヤに交換しました。このまま走り切る作戦でしょうか。
後方を走るクルマのうち4台がハードタイヤに交換しています。

10周目。
トップのフェルスタッペンと2位アロンソの差は約3秒。フェルスタッペンはミディアムタイヤ、アロンソはハードタイヤを履いています。
3位オコンとは9秒離れました。

11周目。
ヌーベルシケインで、オコンに追突する形でサインツが接触。サインツはフロントウィングにダメージを負いました。

17周目。
ミラボーでインを突いて、マグヌッセンがサージェントを抜いて15位に上がりました。

18周目。
ストロールとペレスもサージェントを抜いて順位を上げました。

27周目。
角田選手を追いかける10位ノリスの無線には、雨が来るらしいという情報が飛んでいます。角田選手との差は約5秒。

32周目。
ハミルトンがピットインして、ハードタイヤに交換。8位でコース復帰です。

33周目。
オコンがピットイン。作業時間が4.2秒とやや時間がかかりました。7位でコース復帰です。

45周目。
ルクレールがピットイン。ハードタイヤからミディアムタイヤへの交換です。

ミディアムで長い距離を走っているフェルスタッペンと角田選手ですが、来るかもしれない雨を見越して、タイヤ交換を遅らせています。

51周目。
ラッセルの無線で、コースに雨が落ちてきたという情報が。

52周目。
角田選手と争っていたノリスがピットイン。タイヤは晴れ用のドライタイヤです。

53周目。
ボッタス、ストロールが、雨用の浅溝タイヤであるインターミディエイトタイヤに交換しました。

路面の濡れ具合にはムラがあり、特にミラボーからフェアモントヘアピンの辺りが一番濡れており、ドライタイヤで走るのは厳しい状態です。

54周目。
角田選手がピットイン。インターミディエイトに交換して11位でコース復帰。
一回ミディアムタイヤに交換したアロンソでしたが、雨の状況を見て再度ピットインし、インターミディエイトに交換。タイムロスはあったものの、順位は2位をキープしています。

56周目。
雨がコースを完全に濡らし、フェルスタッペンを始め、上位陣はインターミディエイトに交換しました。
角田選手は再び9位に順位を戻しています。

68周目。
角田選手が1コーナー手前でノリスに抜かれました。
無線では、ブレーキの不調を訴えており、ブレーキング勝負が出来ない感じです。

69周目。
角田選手は、同じ場所で、ピアストリに抜かれ11位に後退。
更に、ミラボーで止まりきれず、コースアウト。コースには復帰したものの13位まで順位を下げました。

70周目。
角田選手は15位まで順位を下げています。ブレーキの不調でまともに走れない状態と思われます。

78周終了。
フェルスタッペンが優勝。アロンソ、オコンと続きます。

レース結果です。

優勝 マックス・フェルスタッペン(レッドブル) 1時間48分51秒980
2位 フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン・メルセデス) +27.921秒
3位 エステバン・オコン(アルピーヌ・ルノー) +36.990秒

4位 ルイス・ハミルトン(メルセデス) +39.062秒
5位 ジョージ・ラッセル(メルセデス) +56.284秒
6位 シャルル・ルクレール(フェラーリ) +61.890秒
7位 ピエール・ガスリー(アルピーヌ・ルノー) +62.362秒
8位 カルロス・サインツ(フェラーリ) +63.391秒
9位 ランド・ノリス(マクラーレン・メルセデス) 1周遅れ
10位 オスカー・ピアストリ(マクラーレン・メルセデス) 1周遅れ

11位 バルテリ・ボッタス(アルファロメオ・フェラーリ) 1周遅れ
12位 ニック・デ・フリース(アルファタウリ・レッドブル) 1周遅れ
13位 周冠宇(アルファロメオ・フェラーリ) 1周遅れ
14位 アレクサンダー・アルボン(ウィリアムズ・メルセデス) 1周遅れ
15位 角田裕毅(アルファタウリ・レッドブル) 2周遅れ
16位 セルジオ・ペレス(レッドブル) 2周遅れ
17位 ニコ・ヒュルケンベルグ(ハース・フェラーリ) 
 2周遅れ
18位 ローガン・サージェント(ウィリアムズ・メルセデス) 2周遅れ
19位 ケビン・マグヌッセン(ハース・フェラーリ) 8周遅れ


今季全勝中のレッドブルがここモナコでも圧勝。
抜けないモナコだけに、トップ3の顔ぶれは予選、決勝ともに同じでした。
金曜日の走り始めにはやや手こずっている印象もあったフェルスタッペンでしたが、セッションを重ねるにつれて、徐々に調子を上げていって、予選では、渾身のアタックでポールポジションを獲得。
雨が絡む決勝でしたが、ミディアムタイヤをギリギリまでもたせ、雨が降ったタイミングで上手くインターミディエイトに繋げました。

上位入賞組ではラッセル以外が雨が降る前に余計なピットインをしており、結果的には、フェルスタッペンと大差がつく形となりました。
アロンソは今季ベストの2位。ここまでは6戦中5戦で表彰台。ドライバーズランキングは現在3位です。アストンマーティンは、コンストラクターズランキングでもメルセデスとは1pt差ながら2位につけています。

そのアストンマーティンは、2026年からのホンダからのPU供給が発表されました。
チームオーナーは、ランスの父親であるローレンス・ストロール。レッドブルから技術者を引き抜いたり、新しいチームファクトリーを建設したり、と、息子をF1で走らせる為だけとはいえない本気ぶりが窺えます。

アロンソとホンダは、かつてマクラーレン・ホンダ時代に確執を生んだ仲でしたが、言葉の上では過去の因縁は無くなったとのこと。
それが事実かどうかはともかく、現在41歳のアロンソが2026年まで現役にいるかどうかは微妙なところであり、ホンダと繋がりのある角田選手の名前もドライバー候補に挙がっています。
しかし、40歳を越えて、なお一線級のパフォーマンスを見せるアロンソは改めて凄いです。

角田選手は雨の降ったタイミングとタイヤ交換を合わせて、完璧なレース運びをしていたのですが、ブレーキの不調に襲われて入賞を逃す結果となりました。
1コーナーの手前でマクラーレンの2台に抜かれたのですが、異常なスピード差があり、まともな状態でない事だけは分かりました。
来週のスペインは、クルマの素性が反映されやすいサーキットだけに、アルファタウリが今回持ち込んだ大幅な改良の評価が問われる事になります。