KIX-S「If…」(1992年)
******
降り頻る雨音が
ひっそりと耳を打つの
走りゆく車の度に
あなたと願うの
どんな人の誘いにでも
乗れるほど一人きり
いつまでたっても慣れないわ
もし"SAYONARA"告げたなら
あなた変わるかしら?
過ぎ去った夢ねだるから
そっとドア開けて
"二人なら"
そう周りがひやかすときもあった
誰よりもその言葉に酔いしれた私なのに
長い髪をほどいた時
季節も変えてゆける
取れない電話が鳴ってても
もし"SAYONARA"告げてても
何も変わらないね
逃げるつもりもないけど
夢見たいから
「美しい想い出」と人は皆言うけれど
私の時はまだ追いつかない
もし"SAYONARA"告げたなら
あなた変わるかしら?
過ぎ去った夢ねだっても届かないから
もし"SAYONARA"告げてても
何も変わらないね
逃げるつもりもないけど
夢見たいから
******
作詞は浜口司さん。
降り頻る雨音が
ひっそりと耳を打つの
走りゆく車の度に
あなたと願うの
静寂の夜に、雨音だけが響いている。
いつもなら、煩わしいだけの車の音にさえ、愛しい人の影を求めてしまう。
どんな人の誘いにでも
乗れるほど一人きり
いつまでたっても慣れないわ
愛しい人の気持ちを掴めぬまま、無為に時だけが流れていく。孤独が身にしみる。一人に慣れない自分。
もし"SAYONARA"告げたなら
あなた変わるかしら?
過ぎ去った夢ねだるから
そっとドア開けて
SAYONARAは最終兵器。
引き止めてくれなければ、そこでおしまい。
使いたくなんかないけれど、孤独に晒される今を変える為には、そういう選択肢もありかもしれない。
「美しい想い出」と人は皆言うけれど
私の時はまだ追いつかない
美しい想い出という響きは良さげだけど、所詮は他人事なんでしょ?美化してみたところで、過去は帰ってこない。自分の中では、これは、過去なんかじゃない現実問題なんだから。
もしも、別れを切り出したら、相手は変わってくれるのだろうか。
これは、大きなリスクです。
しかし、そんな賭けをしなければならないほど、今の孤独は辛いものなのでしょう。
もしもの先にあるもの。
見たいようで、見るのが怖い。まるで、パンドラの箱みたい。