ラブ・ポーション「胸いっぱいのフォトグラフ」(1983年)

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優しく愛せたね
僕たちは今日まで
そして今はじめて傷つけあうね
そう告げる貴方の
くちづけの苦さも
みんな想い出の終わりのページに

古びたセーターを
紺色のスーツに
着換えてこの部屋を旅立つけれど
私も精いっぱい微笑を心に
つまづいても歩き出してゆくから

Tonight tonight tonight…
だけど今夜 私 きっと
ぼろぼろ涙溢れるわ
Tonight tonight tonight…
胸いっぱいのフォトグラフ
抱きしめるだけ

やっぱり哀しいね
別れて暮らすのはって
貴方は都会への切符を見つめ
かすかな泣き顔を
汗を拭うように
隠して急いでくわ線路沿いを

Tonight tonight tonight…
さすらう私を 貴方 今夜
叱って夜汽車の窓から
Tonight tonight tonight…
涙落ちたフォトグラフ
乾かすように

Tonight tonight tonight…
だけど今夜 私 きっと
ぼろぼろ涙溢れるわ
Tonight tonight tonight…
胸いっぱいのフォトグラフ
抱きしめるだけ

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作詞は大津あきらさん。

ラブポーションの名付け親は宇崎竜童さん。
メンバーの中村貴子さんは、解散後、ラジオDJを中心に活躍。学生の頃は、貴子さんの声をよく聴いていたものです。 

優しく愛せたね
僕たちは今日まで
そして今はじめて傷つけあうね
愛の終わり。
愛憎とはよく言ったもので、好きと嫌いは紙一重。嫌いという感情は、好きの裏返し。好きになりたいけどなれない思いが嫌いへと駆り立てる。

好きの反対は無関心。
感情がぴくりとも動かなくなったら、きっと、それは人間関係としての終焉なのだろう。

Tonight tonight tonight…
だけど今夜 私 きっと
ぼろぼろ涙溢れるわ
Tonight tonight tonight…
胸いっぱいのフォトグラフ
抱きしめるだけ
思い出は記録として残っている。
記録は良いときだけを切り取ったもの。
写真の中の二人はずっと微笑んでいる。
記録も記憶も良いときだけ残せればいいのに。
でも、それは二人が過去になったという、寂しい証でもある。

やっぱり哀しいね
別れて暮らすのはって
貴方は都会への切符を見つめ
かすかな泣き顔を
汗を拭うように
隠して急いでくわ線路沿いを
一緒にいるのが当たり前だった二人は、別々に離れて暮らす事になる。
二人はひとりになり、それぞれの新しい生活が待っている。
別れたくない思いがあっても、いくら涙を流しても、ひとりで進んでいかなきゃいけない。

別れと出会いを繰り返し、人生を歩んでいく。
この曲を聴いて思ったのは、自分はちゃんとした別れを経験しているのだろうか、という事。気づけば自然消滅という形ばかり。
出会いばかりを求めてしまうけど、ちゃんとした別れを経験しないと、ちゃんとした出会いもやって来ないような気がするのです。