必殺シリーズ第22作

1984年放送

全18話


オープニングナレーション

花が咲いても人は泣き

その泣き声は蝉時雨

月は晴れても心は闇で

逃げてさまよう雪の中

一年三百六十五日

鴉の鳴かぬ日はあれど

悪人笑わぬ日とてない

恨みを断ち切る仕切人

浮世の気晴らし

なすってくだせぇ

(作・山内久司/声・市川段四郎)



出陣のテーマは「粛清の進撃」
作曲は中村啓二郎さん。




主なキャスト

お国(京マチ子)
元大奥中臈頭。権力闘争に巻き込まれ、大奥を追放される。
江戸の市井で暮らし始めた彼女は、占い師となる。
殺し道具は占いに使う筮竹(ぜいちく)。朱く塗ってあり、先に鉄製の刃がついている。
最終回で百化け一味を殲滅させた後は、お清とともに旅に出た。

新吉(小野寺昭)
表稼業は仕立て屋。
元は鬼アザミ(菅貫太郎)配下の仕切人で、勇次とともにお国を殺すように命じられるが、純粋な姿に手を出す事が出来なかった。
やがて、鬼アザミの外道っぷりを知り、これに反逆し、一味を壊滅させる。
殺し道具は物差し形の刀。夜光塗料を塗ったマチ針を相手に投げつけて、灯りを消して、暗闇の中で相手の心臓を一突きにする。
最終回、百化け一味を壊滅させた後は、織元を訪ねに江戸を去っていった。

日増(山本陽一)
修業を嫌い、実家の寺を飛び出して、江戸で好き勝手に暮らしてる若者。自称「スキゾー」
第1話で仕切の現場を目撃し、勇次に殺されかかるが、お国の機転で密偵として仲間入りする。
裏稼業では、お清とコンビを組んで、仲間の潜入のアシストをする。
お清を「おネェ」と呼んでは、求愛するが、相手にされていない。

お清(西崎みどり/現・西崎緑)
元は大奥でお国に仕えていたが、お国と一緒に追放される。
江戸の町の茶屋に勤めている。
第2話で幕閣に捕えられるが、お国とスキゾーに助けられ、密偵として仲間入りする。

勘平(芦屋雁之助)
お国の長屋の隣に住む髪結いの亭主。
外道仕切人の鬼アザミに反逆した勇次と新吉に加勢し、鬼アザミを始末する。
その現場を見たお国と龍之助は勇次と新吉に始末されそうになるが、勘平の仲介で、二人は仲間入りする。
殺しに使う道具は腰紐。プロレスのリングのロープのように張り巡らし、プロレス技で悪人を葬る。
妻のお勝(ひし美ゆり子)に頭が上がらず尻に敷かれている。
最終回、仲間が皆江戸を去る中、お勝を一人に出来ないという理由で江戸に残った。

虎田龍之助(高橋悦史)
元は大奥に仕える武士。
無実の罪で大奥を追放されたお国とお清を援助した。その後も大奥で起こった不可解な殺人事件を単独で調べていた事で、事件の黒幕によって、お役御免となる。
追放された後は武士を捨てて、江戸の町で小鳥屋を始める。
殺し道具は、鋼鉄製のキセル。悪人を撲殺する。

勇次(中条きよし)
仕事人解散後も江戸に残り、仕切人となっていた。
鬼アザミからお国殺しを依頼されるが、新吉とともに反逆し、手下を始末する。
殺し道具は三の糸と呼ばれる三味線の弦。
新吉とは考え方の違いからしばしば対立するが、ともに死線を乗り越え、絆を深めるようになった。
最終回、百化け一味を始末した後は、一人江戸を去っていった。

殺しのテーマ曲は「恨みを断ち切る仕切人」

主水シリーズから勇次が一本立ちした。
といいたいところですが、主役は京マチ子さん。
しかし、ドラマ中盤では主役不在となり、実質的主役は中条きよしさんという、なんとも中途半端な状態となりました。
作風は思いっきりバラエティに偏っており、視聴率は初回と第2話、第3話こそ20%を越えたものの、極端なバラエティ路線は受け入れられず、最終的には10%強まで落ち込みました。

山内プロデューサーの考えでは、仕切人をシリーズ化しようという事でしたが、視聴者の拒否反応にあい、断念となりました。

中村啓二郎さんによる音楽は、レコード化を前提としてつくられていて、かっこいいのですが、ドラマの中身がついてきませんでした。