1976年放送
全28話

オープニングナレーション
あんたこの世をどう思う?
どうって事ねぇか
あんたそれでも生きてんの?
この世の川を見てごらんな
石が流れて木の葉が沈む
いけねぇな
おもしろいかい?
あんた死んだふりはよそうぜ
やっぱり木の葉はピラピラ流れてほしいんだよ
石ころはジョボンと沈んでもらいてぇんだよ
おい、あんた聞いてんの?聞いてんのかよ!
あら、もう死んでやがら
はぁ、菜っ葉ばかり喰ってやがったからなぁ
(作・早坂暁/声・宇崎竜童)

主なキャスト

赤井剣之介(中村敦夫)
元は沼木藩士。愛するお歌の為に人を殺し、脱藩。追われる身となる。
逃亡先で、市松(沖雅也。前作仕置屋稼業の登場人物)と組んで悪人を殺し、その際、中村主水を紹介される。
武士を捨てたという理由で、殺しに刀は使わない。
先を尖らせた指輪で、悪人の髪をバラバラにし、髪を利用して絞殺する。
追われる身の為、顔を白く塗った大道芸人をしている。腰には竹光(竹で出来た刀のイミテーション)を差しており、大道芸で居合抜きを見せる。
生活は貧しく、お歌と肩を寄せ合い生きている。

最終回、又右衛門のミスで、柴山藩の土屋小十郎(浜畑賢吉)と江戸屋源蔵(田崎潤)に捕らえられ、拷問にかけられる。
又右衛門とお歌に救出はされたが、瀕死の状態で脱走を試みるも、叶わず斬殺される。
剣之介の死は、主水に大きなショックを与えた。

やいとや又右衛門(大出俊)
表稼業は鍼灸師。
仕置屋崩壊後、主水は又右衛門と捨三と組んで裏稼業を続けていた。
殺し道具は携帯用の火種で真っ赤に熱した針。これを悪人の眉間に打ち込む。
病的に縁起を担ぐ性格で、殺しの前には様々な占いをして、吉兆が出るまで繰り返す。
最終回、殺しの前に引いた凶のおみくじをその場に捨てたが、その事がもとで足がついてしまう。
主水の決闘を見届けた後は「恐ろしい男だ」と言い残し、上方(関西)に旅立っていった。

捨三(渡辺篤史)
仕業人の密偵。
仕置屋崩壊後も、主水、又右衛門と組んで裏稼業を続けていた。
表稼業は、女郎(娼婦)専門の洗張屋(クリーニング屋)に転職。自宅兼仕事場が仕業人のアジトとなる。

お歌(中尾ミエ)
剣之介の内縁の妻。
殺しはしないが、剣之介の裏稼業は知っており、行動をともにする。
表稼業は月琴を引く大道芸人。お歌の弾く音色と歌の後に、剣之介が竹光で居合抜きをするのだが、滅多にウケない。
最終回、又右衛門とともに捕らえられていた剣之介を救出するも、女の細腕で瀕死の剣之介を抱えて脱走するのは無理な話で、追手に見つかり斬殺される。

中村せん(菅井きん)
主水の姑。格下げで主水の給料が減らされた事で、中村家は部屋を他人に間貸しするところまで落ちぶれる。
中村りつ(白木万理)
主水の妻。中村家の経済事情により、母親とともに傘張りの内職に励む。

中村主水(藤田まこと)
前作仕置屋最終回で、市松を逃した事により、牢屋見廻り同心に降格となり、給料も激減。家庭での風当たりは一層強くなった。

最終回、仕業人に殺された舅の土屋多聞(永野達雄)の仇を討つ為に、剣之介とお歌を斬殺した土屋小十郎だったが、藩からストップがかかる。
多聞は藩の金を着服し、女に貢いでいた事が判明したのである。
これを聞いた小十郎の妻はショックで自害。
心のやり場を無くした小十郎は、江戸屋を通じて、主水に一対一の決闘を申し込む。
主水は、仕業人としてでなく、一人の武士として決闘を受け、これに勝利する。それは、裏稼業との決別を意味していた。


中村主水シリーズの続投です。
仕置屋崩壊から一年が経ったという設定。
前作で友情を結んだ市松からの紹介という事で、主水は剣之介にシンパシーを抱きました。
それ故、剣之介の死に対してはショックが大きく、裏稼業を捨て去る決意をする程でした。

かつてのライバルだった紋次郎役の中村敦夫さんの起用は当時、話題になりました。
ちなみに、仕業人というタイトルは公募でつけられたものです。
番組の題字を担当していた書道家の糸見渓南さんも特別大きい文字で書いていました。

また、今作でも、主役は主水なのに、キャスト紹介のトップは藤田まことさんではなく、中村敦夫さんでした。
これに抗議する為、藤田さんは必殺からの降板を申し出ます。
加えて、この時期、菅井きんさんの娘さんの縁談があり、婿イビリのせんのイメージで破談になる事を恐れて、同じくシリーズからの降板を申し出るという事態になりました。
この事態は、次の中村主水シリーズである新必殺仕置人の制作にまで影響を及ぼす事になりました。

なお、最高視聴率は16.3%。