ヒトリマヒトリマ 火取魔といふ名はたゞ一つ、加賀山中温泉の例が本誌に報告せられたのみであるが(民間伝承三巻九号)、路傍に悪い狐が居て蝋燭の火を取るといふ類の話は諸処にある。果してこの獣が蝋燭などを食ふものかどうか。或は怪物の力で提灯の火が一時細くなるといふ石川県のやうないひ伝へが、他にもあるのでないかどうか。確かめて見たい。 目次