バレンタインまで働いていた百貨店で見つけた、クリームチーズサンドのお菓子。
味のバリエーションが豊富、見た目も可愛らしくキャッチーで、もらったら喜ばれそうなお菓子だった。
売り場の他のスタッフもみんな気になっているようだった。
チョコレートだらけの特設会場の中で、”チーズ”のお菓子であるという珍しさ。
ショーケースに並ぶ、統一されたパッケージ、売り子さんのおしゃれな制服。
実際に、売り場はいつも混雑し、毎日長い行列ができていた。
行列ができれば、その人の並ぶ列そのものが大きな宣伝効果を発揮する。
行列ができる店は、とりあえず買ってみる。
並んでいる間に、メニューを渡してくれる。12種類くらいかな、味の案内をみながら真剣に悩む。
これはどんな味なのかなぁ、どんな時に食べようか、何と一緒に、いつ、、、
食べるシチュエーションをあれこれ考える。
そして必ず、無意識のうちに、
食べたときに「おいしい」「幸せ」「満たされた」と感じるだろうという期待をして、どれを買おうか考えている。
極端に言えば、このスイーツを買うために支払う代金は、
このチーズのスイーツそのものを手に入れたいからではなく、
購入し、食べたときに得られるだろう「幸せ」「満たされた」感情を味わいたいから払っている。
売るのはモノではないんだな。
物質的な充足ではない、手に入れて使って、体験したその先にある、感情的なソフトな満足感を、提供していく。
私が提供したいものは、最終的に、購入してくれた人の何を満たせるのだろうか?
こんなことをつらつら考えつつ、甘くて少しスパイスの効いたチーズサンドを美味しくいただきました