宅配弁当のいつもなら漬け物のポジションにチョコレートが配置されていた。
全てをたいらげ最後に残したチョコレート。
個包装を解き中身のチョコを摘まむと、なんだかくすぐったく幾分身をよじる気持ちになった。
口中に広がるまろやかなチョコレートは若く青かった当時を思い出させる。
下駄箱に入れられた思いもよらなかったあの子からのチョコレート。
甘く淡い時代…。
そんな妄想イベントは最早宇宙の彼方イスカンダル。
今さら中年がおセンチになるわけがなかろう。
ランニングを終えシャワーを浴びるとTシャツに擦れた乳首が痛む。幾分身をよじる気持ちになるのはそのぐらいの今日この頃なのだ。
弁当屋からすれば気を利かしたつもりだろうが余計なお世話。こんなにもワクワクしないバレンタインデーチョコレートが他に在るだろうか。
そして、俺達中年男性は「コンビニでチョコレートが買いにくい日」くらいの認識でしかなくなったのだ。