飛行機でも飛行場と言う設備がある為、安全にランディングできる。
よく映画やドラマで飛行機が不時着するシーンがあるが大抵被害を伴う。
規模の大小の違いはあれど、降りる場所の判断を誤れば下手をするとケガでは済まない。
本来、クロスカントリートライをする場合はルート計画、気象条件等様々な事前検討をすべきであり、俺のように無計画でチャレンジするのはマジで危険。
自己犠牲だけなら勝手にやったことだが、そうにはならない。結果様々な方面に迷惑をかける行為である。(いやすまん。時効だよな許してね。)
下降する中必死で降りれそうな場所を追う。下降する度タイムリミットが近づいてくる。
身体は緊張のあまり強張り、コントロールバーを握り締めるグローブの中の掌はぐっしょりと汗で濡れていたことだろう。
幸いテイクオフから10キロ地点の手前。俺の技術でも降りれそうな場所はいくつかあった。
目星がついて少し安心した時シンク帯を過ぎる。
(怖えぇー超ビビったわ…。)
高度は500mを切っていた。この間進みながらではあるが、ざっと800mもの高度を失った事になる。
実際は、この時点の高度500mも目安でしかない。あくまでもいつも降りている安全なメインランディング場を起点0mと定義し設定しているためだ。
この場面からもいかに五感をフル活用しなければならないか、経験が必要だというのが理解できるだろう。(ひょっとすると現在では、GPSとマップ等で現在位置のグランドレベルを瞬時に判明出来るのかもしれないが。)
(どうにかなるだろうってな感じで来たけど、どうにか出来んっぽいな。ていうかマジ怖いしさっさと降りよう。)
降りる気満々で目的のグランドの情報を探って…。クンッ!
ピッ…ピッ…ピッピッピッ…。
バリオから上昇を知らせる電子音が鳴る。
その22へつづく。