俺とハング その11(モテない男 トオルぱいせん) | オレブログ

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さあ、
俺の話しを聞いてくれ。

どうしたわけか、ホームエリアの「更クサ山」から初フライトした記憶が無い。

たしか、7時か8時くらいの靄がかかってた朝に飛んだような記憶は薄っすらあるんだが…。

 

ガッチャンドテチンしてた地元の練習や口臭岳の出来事は、前の記事にも書いたように鮮明に覚えているけどな。

本来、「更クサ山から飛ぶ」という目標があり紆余屈折の末たどり着いた記念すべき時のはずだが、いくら思い起こそうとも靄がかかった朝くらいしか思い浮かばん。

 

いよいよ俺もヤバいんじゃねーか?なんて、ブログを書く行為から老化の危険信号を察するってコレどうなん?みたいなことになってるんだが…。

リアルで不安になって、アマゾンの「製薬会社の記憶力回復サプリメント/記憶の扉」っていうものスゴく胡散臭い商品なんだが、説明書きマジ読みしてきたわ。

まぁあれだ…カートには入れといた。念のためなっ!

 

 

頭の中身にも靄がかかっている為、初フライトから数回目まで割愛な更クサ山のテイクオフに俺とトオル。

トオルはメンバーの中で唯一まっとうな社会人。サラリーをもらいタックスを払っているっていう点においてだがな。

俺?当時は夢に向かって気持ちだけ先走ってる無職ですけど?

 

 

シグマッ いいか、あそこの枝がもうちょっとで揺れ出すからな、よく見とけよ。

風を読むのがフライヤーの第一歩だからな。

俺くらいになったらだいたい予測できるようになるけどな。お前にはまだ難しいだろうけど…そこらへんよく勉強しないといい飛びは出来ないぞ。

テイクオフがある山の斜面にトオルと座り、斜面をかけ上がってくる風のタイミングを計っている。

 

この風を利用して滑空することをリッヂソアリングと呼ぶ。

海風など安定したリッヂが得られる場所では、それこそ何十時間も滑空することが可能。

 

ちなみに俺も耐久フライトに挑戦し3時間それを行ったが、同じところをウロウロするだけのまるで小屋に鎖でつながれた飼い犬状態に嫌気がさして、リッジを外れ「山チン」した覚えがある。

 

「山チン」とは山に沈むの意味。

安全に降りられる許可を得たランディング場に降りるのが原則だが、色々な要因(主に下手くそな為。っていうか下手くそだから)から、山にツッコむ事。

 

大概、山チンした機体の周辺には道など存在せず、最悪ナタや鎌で樹木を伐採し、道を切り開き機体を回収することになる。

メンバーの楽しい休日は山狩りに労力と時間を費やすことになり、山チン君は最低ビールを箱買いして振舞わなければならない。

(加齢臭ハンググライダークラブ クラブ則第一条一項より)

 

 

俺、関東のクラブでは一応トップフライヤーだったからな!

風が斜面を上がってくる、来るぞ、来るぞっ!3、2、1…1…はいっ!…あれっ?…はい…。あれ?

 

 

会社の女の子連れてきて同じことやって同じ結果だったらしい。

 

わざわざ山奥に女の子連れて来て、そんなマイナーなスキルを披露したところで、たとえ成功して「ほら、俺が言った通りだろ?ムフッ!

「ほんとだ。風が来たわ!キャーステキッ」とはならない。

 

断言するわ。オマエはモテない!絶対にだっ!

 

 

その12へつづく。