ビジネスで差がつく論理アタマのつくり方
20代の頃から、「ビジネスでは数字でモノを言え」とよく言われてきました。
「なんとなく」や「だいたい」など人の感覚ではなく、事実である数字で明確に示すことができれば相手にも同じ物差しで話ができるからですが、いままでどれくらい実践できているかというと、まだまだだと思います。
この本のサブタイトルには「カンタンな中1数学だけでできる!」とついています。
その根底に根ざすのは、中学1年生の数学に論理思考のエッセンスがたくさん詰まっているため、僕たちはすでに論理思考を持っているのだという考え方です。
とはいえ、予定されたカリキュラムに従って進められる学校の数学の授業では、論理思考を身につけさせる目的で授業をしないものです。
そのため、中1数学の授業を受けても、論理思考ができるようになるとは限らないというのです。
しかし中1数学の教科書を眺めてみると、その内容は論理思考を学ぶのに役立つことばかりなのだといいます。
ご存知のとおり、数学は実に論理的なもので、それは高校数学でも中学数学でも変わりません。
あえて言うならば、算数から数学に切り替わった中1の数学こそ、論理的な数学の土台となる単元が目白押しだといいます。
だから、中1数学を学び直すと、論理思考も同時に学ぶことができるというのです。
本書は、中1数学を通じて論理思考を学ぼうという意図に即して書かれています。
ちなみに「受験戦略家」を名乗る筆者は、東大に文理両方で合格した実績を持つ人物です。
現役で東大理科一類に合格し、卒業後に大手学習塾に入社してからは、東大合格者数の激増に貢献したといいます。
さらに注目すべきは、過去に培ったノウハウを自ら実践するため、30歳を超えてからふたたび受験勉強をし、1年で東大文科三類の合格を実現したという事実(!)。
つまり本書における主張は、そのようなバックグラウンドに基づいているわけです。
理系アタマになれば、仕事ができるようになる
大学受験の世界では、「すべての科目のなかでいちばん大切なのが数学だ」とか「数学の力が、すべての土台になっている」と言われることがあります。
著者によればそれは、数学が「論理の学問」だからだといいます。
勉強において論理を必要としない科目はないからこそ、数学がすべての土台だと言われているというのです。
そして重要なのは、論理思考が身につけば、他のさまざまな能力が同時に上がるということです。
たとえば国語と英語は「言語」という点で似ていますし、数学と理科は共通して計算が必要です。
しかし、このように共通点を探し、「より根本的な力はなんだろう」と考えると、その要素は3つしかないといいます。
その3つとは、「論理力」「言語力」「暗記力」です。
しかもこの3つはそれぞれ別ものではなく、ひとつひとつが関連しあっています。
そのため、1つを鍛えると、他の2つも同時に伸びていくというのです。
論理思考を身につければ、東大合格も夢じゃない
いかにも派手な見出しですが、著者がこのフレーズを用いたことには理由があるのだそうです。
論理力を極めると、勉強に必要な言語力や暗記力が身につくからです。
筆者は東大入試には、論理思考がいらない問題が出ることはないといいます。
数学や理科であれば必要ですし、英語や国語も実は非常に論理的のようです。
というのも、文章というのはただやみくもに言葉を並べたものではないからです。
「文法という論理」を使って記述するため、文法の力を極めると、読めない文が限りなく少なくなるということになります。
また同じように、文章全体も非常に論理的に構成されているものです。
丸暗記でも対処はできるとはいえ、単語や熟語の暗記は論理を使うと非常にスムーズになるといいます。
よって論理的に考えていくと、何倍も暗記のスピードが増すのだといいます。
社会系の暗記科目も、年号や人物名、事件の名前をひたすら暗記していく科目と思われがちです。
しかしこれも単語や熟語と同じで、論理的に覚えると非常に楽になるのだそうです。
そして暗記力をアップさせるためには、知識と知識を関連づけることが有効です。
そして関連させるときに、論理がとても役に立つというのです。
筆者を例でいうと、30歳を超えてから苦手な文系で東大を受験し、そのとき日本史や地理の勉強で丸暗記に費やしたのは、わずか1週間程度だったといいます(しかもセンター試験の直前)。
論理力を高めると、これほど暗記が得意になるようです。
「勉強はストーリーの理解と暗記」であると著者は主張します。
国語や英語長文の読解はまさにストーリーの理解であり、数学や理科の広く深い世界は、論理のストーリーの集合。そのストーリーを理解するためには暗記が必要ですし、社会系の科目は、知識を関連づけてストーリーにしながら覚えていくものです。
そして、そのすべてに絡むポイントが論理力だというのです。
「論理力を高めると、言語力も記憶力もアップする」ということの裏側にあるのは、こうした考え方からなります。
だからこそ、東大合格ですら倫理思考でグッと近くなるということです。
論理的な覚え方をすると根本部分がわかるので、理解が深まり覚えやすいということですね。
私の場合、年に数回テストを受けるので、そうした根本的なことを理解することが記憶にも残ると思うので、その点を特に意識して次回のテストを受けてみたいと思います。