TODAY'S
 
酒好き医師が教える 最高の飲み方

 

世間では師走になり、忘年会シーズンです。

友人同士や会社での忘年会が開かれることが多い時期です。

 

居酒屋や旅館など、お酒が好きな人などは飲むことが楽しみの一つでもあると思います。

かくいう私はお酒がまったく飲めず、母の遺伝か体質なのか、昔の微量ながら含まれているノンアルコールでも、酔っ払って動けなくなっていました。

また、少しでも飲むと青くなるタチです。

 

自分としては、少しはたしなめる程度にはお酒が飲めるようにはなっていたいところではあります。

 

「飲み続けるとお酒が強くなる」ということをよく聞くことがありますが、チャレンジした過去はまったく強くならず終わっています。

(むしろ周りに迷惑を掛けてしまいました)

 

また、ある程度飲める人でも、 「つい飲みすぎた」→「二日酔いでつらすぎる」→「もう二度と飲むものか(夕方にはまた“飲みたいモード”へ)」といった、なかなか抜け出せない悪循環は、お酒を飲む人にとっての普遍的な悩みだと思います。

 

この本は“酒ジャーナリスト”を自称する筆者が、酒好きの医師や専門家から“カラダにいい飲み方”を聞いてまとめたもの。具体的には、以下のような経緯から生まれたといいます。

 

お酒はおいしいし、楽しい。でも健康不安を抱えながら、このペースで飲み続けていいのだろうか?

そんな不安を抱えて飲んでいたアラフィフの私が、「お酒と健康」をテーマにした本を出すことになった。正直、医療分野に長けているわけではない。だが酒好きの気持ちは誰よりも良く熟知している。そうだ、酒好きを代表して、酒飲みの素直な質問や不安を医師や専門家にぶつけてみようではないか。本書はそんな思いをもって書いた。

 

 

冒頭で筆者はこのように語っています。

心強い(気がする)のは、著者が話を聞いた医師や専門家は、その多くが自身も酒好きだったという点です。

つまり、酒飲みの気持ちがわかるのです。

そのため、各人が自身の経験談を交えつつ、「どうすれば酒をやめることなく、長く健康でいられるか」を教えてくれています。

 

 

  「鍛えれば酒に強くなる」はホント?

学生時代や社会人になってから、先輩から「酒は鍛えれば飲めるようになる」という迷信めいたことを言われ、酒につき合わされたという方も決して少なくないはずです。

でも実際のところ、酒に強い人・弱い人はどう決まるのでしょうか? 

この疑問について著者は肝臓専門医で自治医科大学附属さいたま医療センターの浅部伸一医師によると、酒に強くなれるかどうかは遺伝子によって決められているというのです。

 

お酒を飲んだ際に不快な症状を起こす犯人は、アルコールを分解したときにできるアセトアルデヒドというものです。

このアセトアルデヒドを分解する役割を担うのが『アルデヒド脱水素酵素』ですが、その活性は、遺伝子の組み合わせによって決まっています。

“強い遺伝子”を2本持っている人はアセトアルデヒドを速やかに分解できる酒に強いタイプであり、“弱い遺伝子”が2本ある人は、アセトアルデヒドがどんどん蓄積していく酒に弱いタイプです。

 

遺伝から見れば、酒に強くなるのか、弱いままなのかはいたってシンプルです。

酒に強い両親のもとに生まれた子どもは「ざる」と呼ばれる酒豪に、逆に両親とも酒が弱い場合は下戸となるわけです。

 

なお強くなるかどうかの割合は人種によって違っており、白人や黒人はほぼ100%が酒豪になれる遺伝子の組み合わせなのだといいます。

一方、日本人を含む黄色人種では、酒豪が50%程度、下戸が10%程度、残りが“強くなれる可能性があるタイプ”なのだそうです。

(おそらく自分は遺伝的にも10%の下戸に入るかと)

 

おもしろいことに、“強い遺伝子”と“弱い遺伝子”をそれぞれ持つ人は、ほどほどの飲めそうな感じがするものの、初めは限りなく下戸に近い状態なのだとか。

しかし飲酒の機会が増えることで、強さが増していくタイプだというのです。

 

また“強い遺伝子”を持っているにも関わらず、「自分は飲めないタイプだ」と勘違いしている人もいるといいます。

だとすれば自分の酒の強さを知りたいところですが、そのための方法として、本書では「パッチテスト」が紹介されています。

もちろん遺伝子的に失活型の人でも赤くならない人もまれにいるので、正確に自分のタイプを知りたいのであれば遺伝子検査のほうが確実。しかし、普段の飲み方を一考するきっかけにはなりそうです。

 

ちなみに、私のパッチテストの結果は『肌が赤くなりかなり腫れあがりました』。

 

アセトアルデヒド脱水素酵素は、アルコール代謝を繰り返すうちにその活性が徐々に高まっていくのだそうです。

そしてさらにもうひとつ、アルコール代謝を担うチトクロームP450(以下、CYP3A4)という酵素も、同じく活性が上がるのだといいます。

 

おもに薬物の代謝を行なっており、肝臓に多く存在するのがCYP3A4。

その活性が上がると、酒の量が増えても不調が表れにくくなるだけではなく、酒を飲むとすぐ赤くなる人は赤くなりにくくなるのだそうです。

CYP3A4の活性を数値化して確かめることはできないものの、以前よりも酒に強くなったという実感があれば、CYP3A4のおかげかもしれないということです。

 

 

とはいえ酒を飲まない生活が続くと、どちらの酵素も活性が下がってしまうため、少量の酒でも酔っ払ってしまいます。

事実、“強くなる可能性があるタイプ”だという浅部医師も、アセトアルデヒド脱水素酵素もCYP3A4も十分に活性が高まっている状態で、試しに1カ月酒を飲まずにいたところ、禁酒明けには明らかに酒に弱くなっていた経験があるのだそうです。

 

酒に強くなったとしても、病気になってしまったのでは意味がありません。

大切なのは、無理をせず、その日の自分の体調と相談しながら、二日酔いにならない程度の酒量を守ること。

それこそが、細く長く、酒飲みライフを楽しむコツだと筆者は記しています。

 

お酒とも良い付き合い方をしたいものです。