(関連記事)
Ethanol hangover
Published: November 4 2008
VeraSun files for protection
Published: November 2 2008
ついに、米国大統領選の投票が開始しました。
圧倒的に民主党のオバマ議員が有利と言われていますが、米国のみならず世界経済が下降を続けるなかで、着任後に果たして有効な政策を打ち出し不況を克服することができるのかどうか不安が残ります。
米国経済の急速な落ち込みを前に、楽観的な声はほとんど聞かれないのですが、少し前まではオバマ議員と言えば「エタノール」というキーワードが浮かびました。オバマ議員の地元はトウモロコシ生産第二位のアイオワ州。ロビイストからの影響は受けないと言われている一方で、共和党のマケイン議員の公約内容と比較すると、明らかにエタノール推進派といえます。
FTが先週エタノールを特集として取り上げているのは偶然ではなく、原油と共に急落してしまったバイオ燃料やエネルギー関連産業の回復によって実需が生まれるのではないかと淡い期待が寄せられているからでしょう。
エタノールは発展途上国で食糧危機を招いたとされ、批判的な声も聞かれます。実際にエタノールが食糧危機の引き金になったかどうかについては様々な議論がありますが、今年に入って価格が急落したのは、政策によるものではなく、エタノールの精製業者が増えすぎて供給過剰になっているところに、トウモロコシの原価が急騰したからだと言えます。既に競争が激化していたエタノール業界で、今度は金融危機で大打撃を受け、破綻してしまった企業もあります。トウモロコシの原価が下がったとは言え、エタノール自体の価格も下がっているためマージンは得られず、苦しい状況が続いています。
2005年にブッシュ大統領のもとでエネルギー政策法(Energy Policy Act 2005)が成立したのち、急激に膨らみ一気に吹き飛んだエタノール・ブームを象徴しているのが、11月2日に破産申告をした米VeraSun Energy社です。2001年にエタノール生産を手掛ける会社として設立されたのち急成長を遂げ、2006年に上場した際には株価が34%跳ね上がり話題になりました。年間約16.4億ガロン(世界の年間消費量が約96.4億ガロン)のエタノールを生産し、国内16州に工場を持っています。ところが、同社の株価は上場した時期から98%も下落し、破綻に追い込まれました。
しかし、長期的な視野に立てば、エネルギー政策法はまだ有効であり、この法律に従えば2022年までにガソリンのエタノール混合率は現在の4倍になっている計算になります。米国におけるエタノールの総売上高は年間200億ドル(約2兆円)なので、需給が緩めばまたビジネスが成り立つはずです。ただ、参入障壁が低いだけに収益は挙げにくく、投資家はあまり期待ができないというのが引用記事の内容です。
オバマ議員が演説で「環境技術について欧州や日本に頼る必要はない。米国の産業として育成することこそ大事だ。」といった内容で聴衆を鼓舞していたのが印象に残りました。エタノール産業と言っても、トウモロコシに限らず食品とは無関係な藻類(Algae)を利用する技術開発や、ハイブリッド車などエタノールを使った自動車、飛行機、機械など様々な分野での技術革新への波及効果があります。現在の経済の状況でどこまで積極的に推進していけるのかは未知数ですが、新たな産業を育成するのであれば、「エタノール」というキーワードが再び浮上してくる可能性が極めて高いと考えられます。
それにしても、一昔前の雑誌を引っ張りだして見てみると、猛烈なスピードで世界経済の歯車が逆回転したことを改めて実感します。8月11号のエコノミスト誌は穀物と原油の特集で、今年の原油価格は140~170ドルで推移するという予測もありました。ちょうどオリンピックの最中でしたが、あれからまだ3ヶ月です。今から3ヶ月後、少しでも安心できる環境にいられるよう、新大統領の活躍に期待したいと思います。
Ethanol hangover
Published: November 4 2008
VeraSun files for protection
Published: November 2 2008
ついに、米国大統領選の投票が開始しました。
圧倒的に民主党のオバマ議員が有利と言われていますが、米国のみならず世界経済が下降を続けるなかで、着任後に果たして有効な政策を打ち出し不況を克服することができるのかどうか不安が残ります。
米国経済の急速な落ち込みを前に、楽観的な声はほとんど聞かれないのですが、少し前まではオバマ議員と言えば「エタノール」というキーワードが浮かびました。オバマ議員の地元はトウモロコシ生産第二位のアイオワ州。ロビイストからの影響は受けないと言われている一方で、共和党のマケイン議員の公約内容と比較すると、明らかにエタノール推進派といえます。
FTが先週エタノールを特集として取り上げているのは偶然ではなく、原油と共に急落してしまったバイオ燃料やエネルギー関連産業の回復によって実需が生まれるのではないかと淡い期待が寄せられているからでしょう。
エタノールは発展途上国で食糧危機を招いたとされ、批判的な声も聞かれます。実際にエタノールが食糧危機の引き金になったかどうかについては様々な議論がありますが、今年に入って価格が急落したのは、政策によるものではなく、エタノールの精製業者が増えすぎて供給過剰になっているところに、トウモロコシの原価が急騰したからだと言えます。既に競争が激化していたエタノール業界で、今度は金融危機で大打撃を受け、破綻してしまった企業もあります。トウモロコシの原価が下がったとは言え、エタノール自体の価格も下がっているためマージンは得られず、苦しい状況が続いています。
2005年にブッシュ大統領のもとでエネルギー政策法(Energy Policy Act 2005)が成立したのち、急激に膨らみ一気に吹き飛んだエタノール・ブームを象徴しているのが、11月2日に破産申告をした米VeraSun Energy社です。2001年にエタノール生産を手掛ける会社として設立されたのち急成長を遂げ、2006年に上場した際には株価が34%跳ね上がり話題になりました。年間約16.4億ガロン(世界の年間消費量が約96.4億ガロン)のエタノールを生産し、国内16州に工場を持っています。ところが、同社の株価は上場した時期から98%も下落し、破綻に追い込まれました。
しかし、長期的な視野に立てば、エネルギー政策法はまだ有効であり、この法律に従えば2022年までにガソリンのエタノール混合率は現在の4倍になっている計算になります。米国におけるエタノールの総売上高は年間200億ドル(約2兆円)なので、需給が緩めばまたビジネスが成り立つはずです。ただ、参入障壁が低いだけに収益は挙げにくく、投資家はあまり期待ができないというのが引用記事の内容です。
オバマ議員が演説で「環境技術について欧州や日本に頼る必要はない。米国の産業として育成することこそ大事だ。」といった内容で聴衆を鼓舞していたのが印象に残りました。エタノール産業と言っても、トウモロコシに限らず食品とは無関係な藻類(Algae)を利用する技術開発や、ハイブリッド車などエタノールを使った自動車、飛行機、機械など様々な分野での技術革新への波及効果があります。現在の経済の状況でどこまで積極的に推進していけるのかは未知数ですが、新たな産業を育成するのであれば、「エタノール」というキーワードが再び浮上してくる可能性が極めて高いと考えられます。
それにしても、一昔前の雑誌を引っ張りだして見てみると、猛烈なスピードで世界経済の歯車が逆回転したことを改めて実感します。8月11号のエコノミスト誌は穀物と原油の特集で、今年の原油価格は140~170ドルで推移するという予測もありました。ちょうどオリンピックの最中でしたが、あれからまだ3ヶ月です。今から3ヶ月後、少しでも安心できる環境にいられるよう、新大統領の活躍に期待したいと思います。