CDO
CLO
ABS
CDS
CDS of CDO
ABCDS
LCDS
CDO2 CDOsquared
CDO3 CDOcubed
、、、。
最初、何かの冗談かと思ったのですが、どれも金融派生商品のAbbreviation(略称)です。この他にもまだまだあり、FTでは「アルファベット・スープ」と称され、市民権を得ています。
(関連記事)
Protection promise offered by CDSs
By Paul J Davies
Published: August 28 2006
CDS of CDOs spice up the alphabet soup
By Paul J Davies
Published: August 28 2006
さて、以前にCDOとCDSの違いについて「真逆」という説明をしました。
ですが、新聞を読むと、同じように「悪玉」として取り上げられていて、何がなんだかわからないという方、いらっしゃいませんか?
実は、この二つの金融派生商品はお互いに補完し合っているために、問題を複雑に見せています。
結論から言うと、「CDOを売るためには、CDSが必要だった」のです。
CDOは借入れ資産(債権やローン)を担保にしているので、破綻した際のリスクがあります。投資家は、このリスクをとることで、利子の支払いを受けるわけなのですが、できるだけ軽減したいと思うのが普通です。そこで登場するのがCDSです。
「CDS of CDO」という商品は、CDOが不履行になった場合の保証をします。「ABCDS」は、同じくAsset Backed Securities(資産担保証券)が不履行になった場合の保証をします。さらに、CDOの中にCDSを組み入れてしまうことも可能で、これはかなり普及しました。これを日本語では「合成CDO」と呼んでいます。英語では通常の債権やローンだけで組成されているCDOを”cash CDO”、CDSのように他の金融派生商品も組み入れた合成CDOを”synthetic CDO”と呼んでいます。ちなみにCDO2(CDOsquared)やCDO3(CDOcubed)も合成CDOの仲間ですが、これは”CDO of CDO of CDO”ということで、「又貸し」を何度もやっているようなイメージでしょうか、、。
なぜ、このような商品が生まれたのか、ABCDSに関する記事を読むととても明快です。
What wager can you place if you believe the US housing market is going to stumble, knocking the wind out of consumer spending?
(もし米国の住宅市場が崩壊して、消費が停滞すると予測したならば、どこに投資すればいいと思いますか?)
One answer is to bet that the value of bonds backed by risky home loans will fall. That would happen if payment defaults on the loans became more common.
(一つの方法は、高リスクの住宅ローンを担保にした証券の価値が下がるという賭けに投資することです。ローンの債務不履行が一般的なれば賭けに勝つことになります。)
The buyer of insurance, or protection expects to make money if the value of the reference ABS falls—the same effect as selling the relevant bond short.
(保証、プロテクションの買い手は、ABSの価値が下がることで儲けようとします。ABSを空売りするのと同じことです。)
つまり、投資家はリスクをとって高い利回りを得ようとすると同時に、しっかり保険もかけていたわけです。そしてさらに、単純なCDOやCDSだけでは利回りを得にくくなったために、複雑な金融工学を駆使した高利回りな商品が開発されていきました。
現在、この保険=CDSが膨大な量になっており、問題になっています。CDOそのものは、株式と同じで元本は保証されていません。しかし、CDSがつくと、約束した保証金を支払わなければならないのです。単純に債権やローンに対する保証であれば、計算するのは簡単ですが、CDOやABSのCDSとなると、そもそもいくら保証しなければならないのか、わけがわかりません。何しろ、CDSがCDOを保証し、その中に他のCDOやADSを保証するCDSが組み入れられ、そのCDOは入れ子構造になっていることもあるのです、、。
しかし、FTの記事を拾い読みしている限りでは、問題は危惧するほどには発展しないのではないかと少し希望を持ち始めました。
Analysis: CDO values in free-fall
By Paul J Davies
Published: August 18 2008
(以下は、私個人の勝手な予想です。)
その第一の理由は、CDSの空売り規制がなかったために、CDSの価格が高騰しているからです。CDSを組成する際の「買い手」はほとんどが金融機関だったといいます。買い手がみつからなかったために、金融機関が自ら保有するしかなかったのですが、ヘッジファンドがCDSの買い持ちを増やしているのであれば、その分の利鞘を得ているはず。これによって少なくとも自ら保証したCDOや債権・ローンなどの保証金を払うことはできるのではないでしょうか?
第二の理由は、ほとんどの合成CDOが言われているほど複雑ではなさそうだということです。FTの記事によると、合成CDOの70%が2006年から2007年にかけて組成されています。この時期、一般的なCDOのスプレッドが高まり、高い利回りを得るための商品を開発する必要がありました。その特徴はレバレッジが高く、満期が長く、最小限の分散効果に抑えられ、格付けが相対的に低い商品が組み込まれていることだと言います。(BBB格付けの「メザニン」が多い。)特に金融関連の債権やローンが多かったそうです。そうなると、金融機関さえ破綻しなければ、債務不履行になる可能性が低いことにならないでしょうか?
CDSはすべての問題の「元凶」として見られる傾向がありですが、そもそもの目的を考えると、むしろその効果をきちんと発揮できるように後押しした方がいいのではないかと、少し思いました。
以下は、クレディ・スイスの専門家の意見です。
Vaibhav Piplapure, global head of CDOs at Credit Suisse in London, says that of all structured credit assets, investment grade single tranche synthetics are among the least affected from the view of long-term credit losses and are often the smallest part of structured credit portfolios by notional value.
投資適格(トリプルB格以上)のトランシェは、長期間で見て信用収縮の影響を最も受けにくい商品であり、ストラクチャード・クレジット・ポートフォリオのごく一部にしか含まれていないはず。
”The fact that most holdings are not mark-to-market means investors are much more able to put the problems in perspective because credit spreads are implying losses far greater than most expect to see in their investment grade credit portfolios,”
時価会計によらない資産をもつ投資家は、クレジット・ポートフォリオそのものが債権市場の落ち込みによって損失が大きくなるなかで、大局的に問題に取り組むことができる。
"Most investment grade CDOs are managed and most allow various forms of portfolio rebalancing to substitute riskier credits.”
ほとんどの投資適格CDOは運用されており、高リスクのクレジット商品を入れ替えてポートフォリオを再組成できる。
“Banks have finally come to the realisation that they need a system-wide solution for their structured credit portfolios, which are made up mainly of dollar-based ABS [asset backed bonds], CLO and CDO assets.”
銀行のストラクチャード・クレジット・ポートフォリオは、ドルベースのABS,CLO,CDO資産で構成されているが、それを運用するための体系的なソリューションが必要であることに漸く気付き始めている。
一方で、リーマン破綻による影響が日本の金融機関にも及んでいます。損失を出しているのは、リーマン関連のCDSの「売り手」です。このCDSを含んだCDOが元本割れになっているというのです。となると、そのCDOを保証しているCDSはないのか? どうしようもなく想像は膨らんでしまいます、、。