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本日は、The View from the Marketsで竹中平蔵元財務大臣が迎えられました。

印象的だったのが、インタビューアーが日本と中国が欧米に投資をすることで世界経済に貢献する可能性を探っていることです。竹中氏は、一つのアイディアとして郵貯が欧米への投資を行う方法を指摘しています。
”Asian countries have assets, so I believe there are some room to start something new that can contribute to the world economy”という指摘も印象的でした。日本は歴史的に世界の潮流から一歩遅れて、新しい技術やアイディアを吸収し、洗練させることに成功してきた国だと思います。欧米の失敗から学び、より精度が高く、安全な金融システムを作りだすために必要な条件は揃っていると見ることもできるのではないでしょうか?
“start something new”―今の悲観論一色のメディアからは残念ながら聞こえてこない言葉です。




(1) on lessons from the Japan’s banking crisis

From 2003, you oversaw the final cleanup of the Japanese banking system after years in which Japanese authorities divered (not got the heart of the problem) for some time. My question is, have American and the Europeans done enough in terms of the financial system cleanup or is there more to come?

日本のバブル崩壊と今回の金融危機とでは、性質が異なります。日本が経験したのは銀行業の危機であり、今回はマネー・マーケットの危機です。ただし、両方に共通して重要なのが政府が実行力を示すことであり、その最もわかりやすい方法が資本注入ということになります。しかし、日本の経験から言えることは、資本注入だけでは不十分だということです。日本は資本注入してから4年間も危機が続きました。その理由は、政府がアセット・アセスメントを正確におこなう指標を持ち合わせていなかったからです。一番理想的なのは、最初にアセット・アセスメントをおこない、それに基づいて十分な資本注入をおこなうことですが、日本でも欧米でもそれができていません。日本の場合は、ローン資産だけでしたが、今回は非常に複雑な商品を扱うことになるので、問題です。アセット・アセスメントを正確に行うためのフレームワークをつくる努力が必要だと考えます。

Yen has been strengthening in the recent days, as the carry trade is kind of unwheeled. How far do you expect this to go in terms of the yens level against dollar/euro?

GDPや購買力平価など、いくつかの経済指標を見る限り、今の円の価値は高すぎます。しばらくしたら、もう少し低い水準に戻ると思います。政府の介入は短期的には効果を発揮しますが、長期的に必要なのは、構造改革を進めて、内需を刺激することです。



(2) on role Japan should play in solving crisis

With no external demand from America and Europe, what is to prevent this situation just becoming worse and worse spiralling downwards?

これまで日本は確かに外需と円安によって輸出分野で成功してきたといえます。しかし、今は世界的な不況期に突入していて、状況を救えるようなアンカー・プレイヤーは存在しません。
日本の金融機関については打撃が少ないのですから、政府は構造改革を進めるべきです。

Are you saying that by doing that, Japan could stimulate demand and act as a kind of a motor for the global economy?

日本は世界第二位の経済大国であることは変わらず、GDPは世界の9%程度占めています。その意味で日本経済が1~3%程度成長を続けることは世界経済、中でもアジア経済の成長に寄与することになるでしょう。

In the Asian context, what can individual countries like Japan and China do to set the agenda?

例えば、アジアの国々は多くの外貨準備金をもっています。もし中国や日本がこの資産を使って欧米に投資すれば、他のアジアの国々にも良いインパクトを与えるはずです。資産をうまく利用して、世界経済に貢献するような、何か新しいことを始める余裕はあると言えます。日本には「国民年金」という世界最大のSWFがあり、中国には外貨建て資産があります。これを一部欧米への投資にまわすということは十分に考えられることです。

In Japan there has been a lot of resistance to the idea of SWF to put risk on capital, what do you think has changed?

金融は非常にテクニカルな問題なので、政治家もメディアに理解してもらうのはなかなか難しい。しかし、今国民年金の大部分は米長期国債で運用されており、不十分であることは明らかです。額が少なければ、民間部門への投資も考え得ると思います。

Japanese financial institutions have become more prominent in the world stage. Do you think they are prepared in terms of management and experties to play a big role now?

野村HDやMUFGの件については様々な意見がありますが、私は「プロアクティブ」(先を見越して行動する)な決断は評価できると思います。その意味で個人的に期待しているのは、日本郵政グループによる積極的な行動です。ゆうちょ銀の資産をうまく使えば、米国にも貢献できるし、新たなビジネスの開拓という意味でも非常に建設的な方法なのではないでしょうか?


(3) on global recessions effect on Asia

How far is this recession going to effect the Asian economies?

アジアの新興国のほとんどが輸出型産業なので、金融危機の影響は当然大きくなります。しかし、それでも中国は8~9%の成長を維持するわけで、ディカップリングする部分も持ち合わせています。アジアの国々の成長は減速はしますが、それでも続くと思います。

Do you think countries in Asia can do anything collectively to counter this crisis?

ユニラテラリズムとマルチラテラリズムのどちらが有効かという問題にもつながると思いますが、今回の欧州の事例で見たように、まず英国が行動して、他国が後を追わざるを得ないようなシナリオも考え得るわけで、強いリーダーシップを発揮する国が行動することで協調を促すことも可能だと思います。


You are talking about deregulation,privitisation and reform. In a time when those concepts are out of fashion, or are being at least heavily criticized, do you think these are 'dirty words' in Asia?

日本でも残念ながら、ポピュリズムの傾向が強くなっています。しかし、日本経済の成長はこれまでの方法では維持できないことは明らかです。しばらくは、今の傾向が続くかもしれませんが、成長率が落ち、税金が高くなれば国民はまた改革の必要性を認識することになると思います。