突然ですが、CDOとCDSの違いについて説明できますか?



アルファベットにすると、異なるのは一文字だけなのですが、その内容は「真逆」です。


●CDOは、Collaterized Debt Obligationの略称です。Collateralは担保という意味で、Debt Obligation、つまり「企業などの借り入れ(=社債・ローン)」を「担保にした」証券化商品という意味になります。企業が将来お金を返してくれることを当てにして、第三者に又貸しするような構図です。

企業A (格付けAAA=「絶対大丈夫」)

 ↓ ①社債・ローン発行(借入れ)

金融機関B 

 ↓ ②証券発行(「①の返済から将来返せますよ。」)

投資家C (証券を買って利回りで儲ける。リスクが高ければ利回りも高い。)


(実際には、金融機関がSPV(特別目的会社)を介して、企業の負債を買い取り、証券を投資家から募って運用するという方法を取ります。)


企業Aが破綻した場合、債権やローンは債務不履行になり、投資家Cは損をすることになります。しかし、高度に発達した金融工学では、投資信託のように複数の債権やローンをプールしてリスクを分散し、さらに別の金融派生商品を組み入れてリスクを最小限に抑えることができます。マネージャーの力量でポートフォリオの運用成績が決まるのは、投資信託と同じです。
プールされた複数企業の債権やローンは、投資家が負うリスクの大きさに従って、いくつかの「階層」(トランシェ)に切り分けられます。AAA格債務担保証券「シニア」、BBB格債務担保証券「メザニン」、格付け無し債務担保証券「エクイティ」などがあります。企業が破綻した場合には、このトランシェによって払い戻しの額が決まるわけです。

この商品の背景には、企業などの借り手に対する信用(クレジット)が前提としてあり、株式や債権と同じように、景気や企業の業績が良好な中で、価格が上昇していきます。

債務の対象は企業だけではなく、今回の金融危機の発端となった個人の住宅ローンにも及び、通常ではあり得ないような相手に信用(クレジット)を賦与して取引を行っていたわけです。



●CDSは、Credit Default Swapの略称です。つまり、企業の債務がデフォルト(不履行)した場合の保証をするために開発された金融商品です。
投資家Cが企業Aは倒産する可能性があるので、貸し出し(社債発行)をするのに保証が必要だと考えたとします。そこで、金融機関に保証料を支払い、企業が倒産した場合には元本を保証してもらうという契約をします。




企業A (格付けCCC=「破綻?」)

 ↓ ①社債発行(借入れ)

投資家C

 ↓ ②CDS発行(保証料支払い) (「もし、企業Aが破綻したら、保証してくださいね。」)

金融機関B (保証料で儲ける。もし企業Aが破綻したら、投資家Cに元本を支払う。)



実際には投資家Cがプロテクション(保証)の買い手、金融機関Bがプロテクションの売り手としてスワップ取引をおこないます。

CDOの価値は企業や経済の信用が増すと上昇するのに対して、CDSの価値は会社のデフォルト・リスクが増すに連れて上昇するということになります。

複数の企業のCDSを指数化したのが、iTraxx指数です。iTraxx指数は、IICという組織が組成、管理(Markit社が請負)しており、6ヵ月ごとに組み入れ率などを見直しています。地域と保証年数によって分類されており、例えば、iTraxx Europe index は、ヨーロッパのトリプルB以上の格付をもつ125社の債権を組み入れ、3年物、5年物、10年物などがあります。iTraxx Crossover Indexは、ジャンクボンドに相当する45社の債権を組み入れています。

この指数は市場で自由に取引ができるので、投資家は売り持ち/買い持ちによって投機をすることができます。指数が上がっていれば、市場が企業のデフォルト・リスクが増していると考えていることになります。下がっていれば、企業への信頼(クレジット)が増しているという見方が大勢だということになります。金融危機が深刻化する中で、株式市場については空売り規制をおこなう国が多かったのですが、クレジット・マーケットについては規制がなく、ヘッジファンドがCDSの売買でかなりの儲けを出したようです。