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カーク・カーコリアン(Kirk Kerkorian)氏は、ウォレン・バフェットやジョージ・ソロスと同様に影響力をもつ91歳の投資家です。今年4月にフォード株を10億ドル(1億2,000万株)を取得し、さらに3億ドルで2,000万株買い足し、フォード株の6%を保有していました。

21日、カーコリアン氏はフォード株の730万株を売却し、残りの1億3,350万株も手放すと発表したのです。同日、フォード株は8%下落し、GMはクライスラーとの合併話を急いでいます。


カーコリアン氏率いるトラシンダ(Tracinda)社はこの売却で7億ドルの損失を出したことになるのですが、その理由について次のようにコメントしています。

"sees unique value in the gaming and hospitality and oil and gas industries and has, therefore, decided to reallocate its resources and to focus on those industries".
(ゲーム、ホテル、原油、ガスに可能性を見ているので、そこにフォーカスして資産を再配分することにした。)

トラシンダ社は世界最大のカジノホテル・グループ、MGM Mirageの主要株主で既に50%以上の株式を保有しています。しかし不思議なのが、このMGM Mirageグループも決して業績は良くなく、株価は今年初めから85%も下落、格付けも下げられたような状況です。また、フォード社は資産を担保にキャッシュを調達することに成功し、欧州で根強い人気を誇る小型自動車(Fiesta)があるので、デトロイト3の中では一番安定していると見られていました。



どうやら、原因は業績や株価ではなく、フォードの経営陣とカーコリアン氏との間にあるようです。



カーコリアン氏は、”Casino Mogul”(カジノ界の帝王)という異名のほかに、”scourge of Detroit’s boardrooms”(デトロイト取締役室の災い)とも言われています。いわば、自動車業界の「もの言う株主」として何度もチャレンジしては、失敗を繰り返しているのです。

初めて自動車業界に登場したのが、90年代にクライスラーの株主になったときで、配当金を増やし株式を買い戻す提案を経営陣が拒否した際にTOBを仕掛けています。さらに2005年にはGMの筆頭株主になり(9.9%)、CFOを送り込んだのですが、やはり経営陣と衝突。2006年に日産ルノーとの合併をもちかけ、拒否されたので株式を手放しました。2007年に再度クライスラーの大株主になろうと試みますが、経営陣はサーべラスの出資を受ける選択をしました。そして、今年の春、フォード社の経営建て直しを進める元ボーイング社の重役アラン・ムラリー(Alan Mulally)氏に信任を示し、出資に踏み切ります。ところが、先月最も経験のある取締役のうち二人が退職し、現在フォードを支える担保付ローン・パッケージを実現した有能なCFOも引退してしまいました。現在取締役会に残るのは、ムラリー氏のほか、フォード一族と古参のメンバーで関係者の間では、取締役会の独立性が問われ始めています。


このような状況での株式放出ですから、当然取締役会で何か問題が起きたのだろうと想像してしまいます。

ただ、これまで改革を進めてきたムラリー氏は以前健在なので、日本のマズダの株式(33%)を手放して体制を立て直すと見られています。