bounce!
    I love to bounce!

「くまのプーさん」に登場するティガーは、飛び跳ねるのが大好き。プーさんは、「ぴょんぴょん飛び跳ねるから、ティガーは本物よりも大きく見えるんだ。」と言います。

こんな出だしで始まるジョン・オーサーズ氏(註1)のSHORT VIEWですが、今回の株価反発をどう捉えるべきなのでしょうか?

TUE OCT 14 2008 FT Page15
The Short View : Market Bounce
By John Authers, Investment Editor

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●どの程度の反発かといえば・・・


S&P500種指数は一日で11%上昇し、先週の金曜日の底値から19.5%の上げ幅になった。しかしこの水準は、木曜日午前中の水準に過ぎず、先週頭に比べてまだ9%低く、リーマン破綻時から比べると20%下げている。

1929年の大暴落の後、ダウ平均は2日間で18.8%、1987年のブラック・マンデーの後は二日間で16.6%の上げ幅を記録している。今回は先週の金曜日の底値から19.2%の上昇であり、今後の動きを予想することは今の段階では難しい。

また、LIBORとフェデラル・ファンドの目標金利間のスプレッド(LIBOR/OISと同じ意味をもつ)は、いまだ300bpで、リーマン破綻時の75bp、2007年夏の13bpに比して遥かに大きい。



●いつが底値と言えるのか?


そんな中で、オーサーズ氏は、長期循環を考慮したS&P500の株価収益率(Longterm cyclical P/E ratio on S&P500)の歴史的な動きから、歴史的なベア・マーケットの大底にはまだ至っていないのではないかと分析している。

"Longterm cyclical P/E ratio on S&P500"は、イェール大学のエコノミスト、リチャード・シラー氏(註2)がつくった指標で、S&P500指数を企業の収益率10年平均(世界大戦や景気循環などの変動要因をはずすことができる)で割って計算される。

081013


これを見ると、まず1929年と2000年の暴落が顕著にあらわれている。一方で、歴史的なベア・マーケットの底値も明らかであり、この水準まで下がるとすればまだあと一段階下がる余地がある。また、現在の指数は15ポイントで歴史的な平均値をやや下回る水準にすぎないのである。


さて、この分析手法が有効なのかどうか?

指数をつくったシラーズ氏の見解を知れば、役立つかもしれません。

  

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この書籍の題名Irrational Exuberanceとは、「根拠なき熱狂」という意味です。前FRB議長グリーンスパンがITバブルの存在を指摘したことで有名なフレーズになりました。本書は、ITバブルにおける株価の動きを詳細に検証する内容です。邦訳もあります。



註1:オーサーズ氏(エディター)は、毎日のマーケットの動きについて検証するTHE SHORT VIEWと長期的な視点で一週間を振り返るTHE LONG VIEWを執筆しています。


註2:シラー氏はイェール大学で教鞭をとる行動ファイナンス学の権威。シラー氏が作り出した指数としてS&P・ケース・シラー住宅価格指数があります。