FTでおなじみのエコノミスト、ジョン・オーサーズ氏(註1)による記事です。

Sat OCT 11/ SUN OCT 12 2008 FT Page20
Heed the harsh lessons of history to find value
John Authers (THE LONG VIEW)

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先週株価が大暴落し、大恐慌のきっかけとなった1929年の株価大暴落を引き合いに新たな恐慌を予感させるニュースが目立ちます。

そのなかで、本記事はパニックに駆られる気持ちを抑える上で役に立ちそうです。

オーサーズ氏は、今回の景気後退の始まりは2007年ではなく、ITバブルが崩壊した2000年あたりと見ています。その前提でこれまでの株価の変動を見ると、現在は危機の終盤にあたる1938年代の状況に酷似してるのです。(下図)



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2000年に株価が暴落し(ブラック・ウェンズデー)その後数年間徐々に回復し、再度暴落するというサイクルです。だからと言って、手放しに喜べるかと言えば、否。その後10年の間に株価は5%しか回復しなかったのです。


1930年代は、現在と同じ、もしくはそれ以上に暗黒の時代だったと言えますが、その状況下でも株式投資に成功した人物として知られるのが、実はあのベンジャミン・グレアム(註2)です。

グレアムは、1930年代の最悪の時期に株式に投資することで成功をおさめ、その手法を「証券投資」という本にまとめています。現在、株式投資の教科書としておなじみですが、そのベースにあるのは、企業のバランスシートをもとに価値評価をおこなう「ファンダメンタル分析」です。最悪の事態を想定した場合の企業の本来価値をきちんと分析し、市場価格と比較することで適切な投資判断をおこなうというベーシックな方法です。

市場の動きに翻弄される「ミスター・マーケット」が売りに走るなかで、余裕のある個人投資家は長期的な視野をもって利益率の高い投資戦略を実行することができたというわけです。

オーサーズ氏の投資家への助言は以下に集約されます。

"Do not try to work out how long the market will take to recover or when it will hit bottom - that task is impossible. Use basic balance sheet methods to work out how much it would be worth if the worst came to the worst. If that calculation leaves you with a margin safety, then buy it. Don't let the hand of history gripping your shoulder stop you."

テクニカルな手法に走らず、勇気をもって、かつ冷静な分析をもとに投資に挑め ということですね。


先週、グレアムの証券分析の第6版が出版され、グレアムの手法を現在の市況と照らして検証するはしがきが加筆されたそうです。(日本語訳は、残念ながら第一版しかありません。)


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註1:オーサーズ氏は、毎日のマーケットの動きについて検証するTHE SHORT VIEWと長期的な視点で一週間を振り返るTHE LONG VIEWを執筆しています。

註2:ベンジャミン・グレアムは「賢明なる投資家」の著者でもあります。