2日目はD社のプレゼンテーションから始まった。1日目との違いはソフトウェアの機能説明に、より重点が置かれている点である。
D社からは営業、プロジェクトマネージャ、アプリケーション担当、インフラ担当の計4名が来社した。1日目のベンダーの来社人数に比して人数が少ないことに渡辺部長は不満を感じていた。
D社プロジェクトマネージャの岩見が新業務フローに沿ってパッケージの機能を説明した。特筆すべきは彼がT工業と同様の業種に対してシステム導入経験があることである。
彼は汎用品を製造する場合と特注品を製造する場合の生産管理の手法の違いや、両者を組み合わせる場合の留意点を丁寧に説明した。更にT工業が作成した計画に対して、より優れた提案をしてきた。また、パッケージ機能では実現できない内容についても曖昧にせず、どのようにカスタマイズしたらよいかを丁寧に説明してくれた。
2社目のE社は製造業に特化した中堅ソフトウェアハウスであり、営業、プロジェクトマネージャ、インフラ担当の3名が来社した。D社同様、プロジェクトマネージャの海江田がメインでプレゼンテーションをした。彼は、前職で製造業の会社に勤務しており生産管理業務、システム開発業務に従事しており、業務についてもシステムについても詳しかった。
E社のパッケージはD社のものよりもきめ細かい機能を有しており、使い勝手は良さそうだった。
3社目は今までの5社とは異なり、現状の会計システムのベンダーのF社である。T工業では会計パッケージの他社へのリプレースは考えておらず、バージョンアップと個別原価計算機能オプションの追加で対応する方針を立てていた。
そのためF社には他の業務システムとのインターフェースの取り方の説明と利益管理に関する提案を求めていた。
利益管理資料に関してはF社のパッケージで提供されていないものもあったが、基本情報は全てあるため、新たに資料を追加することで対応可能であるとの説明を受けた。
全社のプレゼンテーションがようやく終了した。高岡を初めステアリングコミッティ、プロジェクトメンバーの全員が評価表に基づいて各社を評価した。導入費用および運用費用等については、各社の提案書に基づき池田と羽田が事前に整理しておいた。
また、森山のサジェスションに従い各社のプロジェクトマネージャの評価も全員が行った。各社には、実際にプロジェクトマネジメントを行う人間がプレゼンテーションをするようにと、事前に伝えてあった。森山は、過去の経験からベンダーの規模やパッケージの適合度も重要だが、システム導入の要となるプロジェクトマネージャのスキル・ノウハウ・性格が極めて重要であると考えている。
T工業のメンバーの評価表を池田は回収した。それらを明日の午後からの評価会議までにまとめる必要があった。今回は森山のアシスタントスタッフの西野も手伝ってくれた。
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2日目のプレゼン終了後、渡辺部長は安田専務と話をする機会を持った。
「専務のお考えはいかがでしょうか?私は、1日目の大手のベンダーから選定すべきだと考えています。」
「特に大手SIベンダーであるC社が良かったと思います。我社はシステム担当がいないため、アプリケーションシステムだけでなく、インフラ、ネットワークをトータルでサポートしてくれる会社が適切だと考えています。」
「渡辺さん、確かにあなたの言われる通りだと思います。ただし、導入費用・運用費用等を考えると、2日目のベンダーとはかなり差があるので、その点が気になります。」
一方、池田達はアプリケーションシステムの適合性とプロジェクトマネージャの評価に重点をおいていた。
高岡は社長室から、まだ明るい窓の外を眺めながらT工業が成長するためには果たして誰に頼むのがベストいやベターなのかを考えていた。
この物語はフィクションであり登場する企業・人物は架空のものです。
第16章 完 高石 貢(著)
第17章 -誰に頼んだら(最終)- 6月27日頃 アップの予定です。