お詫び:前回アップしましたブログの表題が誤っていたことをお詫びします。

    誤:第6章-企業にとってシステムとは-

正:第5章-コンサルタントのつぶやき-
また、一部登場人物の名前が誤っていましたことも併せてお詫びします。



 森山は池田と会った翌日から精力的に動いた。


 まずは高岡社長、池田室長と面談をして、今後の進め方とコンサルティング契約について詰めた。M社では「システム導入コンサルティング」契約の場合「システム化計画策定」・「ベンダー(開発業者)選定」、「要件定義」の各フェーズに深く関与するのが通常である。それは、当該フェーズに深く関与していないと「システム設計」~「システム導入」のフェーズで適切なアドバイスができないためである。


しかし、今回は「システム化計画策定」~「要件定義」フェーズにおいてもM社はアドバイスベースの契約となった。理由は、高岡社長ができるだけコンサルタントに依存せずに自社で進めることにより、自社の人材の育成、ノウハウの吸収を図りたかったためである。一方、M社側も前年T工業の「事業計画策定」に関与していることから、当該契約内容でも大丈夫だと判断した。

 次に、森山は事業計画策定時に整理してあったT工業のビジネスモデル(主としてマーケティング、ビジネススキーム)を把握した上で、全社的課題を掘り出すために「マネジメントインタビュー」に臨んだ。


インタビュー対象者は部長(次長を含む)以上とし、下記のメンバーが選定された。



高岡社長、安田専務(製造・開発担当)、山田常務(営業担当)、高橋

佐藤総務部長、池田社長室長、渡辺製造部長合営業部次長 計8



 インタビューは、森山とM社スタッフの鈴木が実施し、池田社長室長がオブザーバとして参加することになった。インタビュー時間はおおよそ30分~1時間に設定した。またインタビュー対象者に対しては、事前に各自が抱えている課題を整理してくるようにお願いしておいた。

 通常の場合、社長のインタビューから始めるのだが今回は社長は最後にした。それは高岡がT工業に入社して間もないためでる。他のマネジメントの意見を収集しそれを高岡にぶつけるのが得策だと森山は考えた。

日程調整の結果、インタビューは安田専務から開始となった。


 定員6名程度の小会議室で森山達は安田専務を待った。
「お待たせしました。急な電話が入ってしまいました。」と言って安田は5分遅れて会議室に入ってきた。


安田は完全な白髪でいかにも苦労人のような相貌をしていた。彼は高岡の父親とT工業創業時からのパートナーであり、開発と製造を担当してきた。


「課題ですか・・・。山積ですよ。」



「ご存知の通り我社は5名ほどの町工場から、ここまで成長してきました。」

「その間に安価な汎用機の開発、販売経路の開拓、コストダウン、品質向上、資金繰り、特注機の開発、汎用機用のソフトウェアの開発等々、あらゆる課題に立ち向かってきました。」

「それも、限られた資金・人材で、です。」

「とてもシステムにまわせる資源はありませんでした。それでも社長、いえ前社長はシステムの重要性を認識しており前回のシステム導入に至ったわけです。」森山は安田を見つめながら無言でうなずいていた。


「その際、ベンダーと呼ぶのですか開発業者の人たちはシステムを導入したらすべて解決するようなことを言っていました。でも、結果は見てのとおりです。」

「私自身も知り合いのベンダーを紹介したことに責任を感じています。」


「安田さん、システムはあくまでもツールです。どんなツールを選ぶのか、それをどう使うのかにより結果は変わってきます。貴社の工場においても同様ではないでしょうか?どんな製造機器を選ぶのか、それをどう使うのかによって貴社製品の品質もコスト大きく異なるのではないでしょうか?」



「確かに資金が潤沢にあれば、高機能の製造設備を買うことができます。しかし、資金が少なければ限定された機能の設備しか買えません。但し本当に重要な機能に絞れば安価な価格で充分な効果はあげられるのではないでしょうか?」「一方、いくら高機能の設備を導入しても使いこなせなければ意味がありません。」「それ故に、システムを効果的に適切な価格で導入するためには課題の明確化が重要なのです。」


森山の言葉に安田は静かにうなずいた。


「すみません。話が大分逸れてしまいましたね。」

「今、私が課題と考えていることをお話します。」


「一つは販売予測が大きくぶれる為に、生産計画の修正が頻繁にある点です。何とか販売予測の精度を上げるのが課題です。もちろん、営業さんに頑張ってもらう必要があるのですが・・・。」

「そうですね。私も色々な製造業を見てきましたが、生産計画の変更の減少はどの会社でも課題になっていました。」森山が同調した。


安田はなんてかの課題とその背景を丁寧に、時にはくどく説明した。

森山は辛抱強く聞き役に徹しながらも、他社の事例を話すことにより安田の考えを引き出すことに努めた。


40分程度で安田のインタビューは終了した。

安田は会議室を出ると真っ直ぐに階下の喫煙室に向った。喫煙室には一名先客がいた。


「山田さん、終わりましたよ。」

先客は次のインタビュー対象である営業担当の山田常務だった。

二人は製造と営業ということで公的な場では、よく言い争いをしていた。しかし本音は通じ合っており、T工業のためにどのようにして若手を育てていくかに腐心していた。


「安田さん、いかがでしたか?」

「いや森山というコンサルタントが業界をよく知っており、課題を引き出して整理してくれたよ。」

「販売予測の精度が低いことも話したんだが、彼は他社の事例をあげて、すべての機種の予測精度を上げる必要がないことを白状?させられた。」


「販売予測の精度については改善しようと努力しているのだけれどな・・。」

山田は苦笑いしながら言った。

「いずれにしても、考えていることを正直に話すのが良いと思う。」

「分かった。それでは本音で対応することにするよ。」


山田は、吸いかけの煙草を消すと喫煙室を出て会議室に向った。


第6章 完  高石 貢(著)

7 -制約条件あり!-  328日頃 アップの予定です。

















経理部長、