人間で言うところの魔術だった。ただそれは神側のものだけに魔術とは根本が違っていた。神秘なるもの。自然の法則を無視した現象が起こる。神言である。
「 さあ、神童。これはどうかな?」
言霊で発せられた詠唱が引き起こす現象は瞬時に神童に達する。無数の光の刃が神童に向かっていた。神童はその光の刃を顔を覆い隠すように両手で防いでいた。
「 くっ・・・・・。なかなかですね。」
「 耐えたようだな。だが、これはどうかな?」
再び詠唱が始まる。先程までとまた違った詠唱が聞こえる。その様子をみんな黙って見続けていたが、魔神が動く。
「 ラファエルさん、もういいでしょう?これ以上続けると、神童が駄目になってしまう。」
「 おや?心配ですか。・・・・でも大丈夫ですよ。ミカエルさんだってそれは分かってますし。」
「 しかし・・・・・。」
「 心配ならどうします?貴方が止めますか?少しは神童君に力を見せて見ては如何です?」
魔神は神妙な面持ちであった。ラファエルからの進言で心が揺らいでいた。
「 分かりました。私が止めましょう。神童にも少しは分かっていた方がいいかもしれない。もうそんな状況まで来ているようですから。」
「 そうですか。分かりました。それでは今一度リミッターを解除しましょう。」
ラファエルは先の時に使った鍵を差し出していた。受け取った魔神がリミッターの解除行動に入ろうとしていた。するとそこに立ち尽くす1人の男が居た。
「 貴方の力は此処でまだ見せるべきではない。私が何とかします。」
それは無口に傍観を決め込んでいたガブリエルだった。
「 ガブリエルさん、どうして?」
「 ラファエル、貴方は勝手過ぎる。もう少し考えを持って行動してしてほしい。」
そう言ってガブリエルがミカエルと神童との仲裁に向かった。
「 2人とも止まりなさい。これ以上はもういいでしょう。」
急に止められてミカエルが言う。
「 ガブリエル勝手に止めようとするな!!もう少しこいつを思い知らせないと・・・・。」
「 だから止めろと言ってる!!お前はやり過ぎるところがある。それに神童!お前ももう少し私達の事が知りたいのなら、謙虚さを持ちなさい。」
その言葉に対して神童は不服顔を示していた。
「 なんで貴方方は一方的なんですか・・・・・。それに謙虚さ?馬鹿にしているのか?」
「 愚か者!!お前は何も知らない。本気になればこんな戦い一瞬で終わらす事も出来るんだ。そんな事も分からないお前じゃ、到底勝てる事はない。」
愚考を諭すように言うガブリエルだった。それをファローするウリエル。
「 まあまあ、その位でいいでしょう?私達も大人気ない行動でしたから。これで終わりにしましょう。」
威厳のある圧力を垣間見せるウリエルに対して神童は何も言えなくなっていた。