大きく飛翔する魔王ジュラザード。大きく広げた漆黒の翼だった。その姿は魔王でありながらも見惚れてしまうほどだった。相手が漆黒だけに、神童自信がより一掃映えて見えた。黄金色に包まれた身体。

『 さあ、貴方の力が見たいのですよ。どんどん挑んできなさい。私はそれだけで身体が身震いしてきますよ。私をもっと楽しませなさい。』

「 ・・・・期待に応えてやりましょう。そして後悔させましょう。」

そこから始まる戦いは想像を遥に凌駕するものになってゆく。気力の上がった神童の拳が光の速さを超えていた。それはまさに神速の域に達していたのだろう。人の目ではもう追いきれない速さで繰り出される拳。拳圧だけでも周りの物を崩してゆくであろう。

『 そうですよ。もっと、もっと・・・・・。』

その魔王も攻撃の態勢に入っていた。右手を天に向かって手の平を広げると、一瞬にして雷雲が轟く。掌には凄まじいエネルギーを感じる。すると天に向かって渦が発生していた。大きな雷轟と共に纏った竜巻が神童目掛けて放たれる。その時の魔王の表情は無邪気に喜ぶ子供の様であった。

『 少し遊んであげましょうか。どうです?私の攻撃(プレゼント)は!?』

放たれた竜巻は瞬く間に周りの空気を巻き込んで大きく成長を続ける。神童に達する頃にはもう強大な低気圧の塊と化していた。雷を纏った竜巻。神童の体にも変化が見られていた。それは大きく広がる翼が背にあった。

その背に広がる翼で一瞬後退すると、輝く拳の力と大きく力強く羽ばたかれた翼の力で竜巻に向かう。大きくぶつかり合う力同士。眩く辺りを光が包むと同時に弾ける力の解放音。それはとてつもなく劈く破壊の音だった。何も無い荒野に響く音の塊。一瞬にして100キロ四方に怒号が鳴り響く。その解放された力は原子の力に匹敵していた。

『 ほ~う。やっと力の制御が出来始めたようですね。よろしい。もっと楽しめるように、力を貸しましょう。』

そう言った魔王の手からは幾つもの竜巻が放たれる。そのすべてを神童は粉砕してゆく。その度に大きな破裂音と光がこの場を覆いつくしていた。

魔神はその戦いぶりに引き込まれていた。とてつもない力と力がぶつかり合っていたにも関わらず、魔神自身もその戦いに魅了されていた。

「 魔神さん、あなたもこの戦いが貴方自身を変える事になるかもしれません。」

「 ・・・・私がですか?」

神妙な面持ちで応える魔神。確かに体の奥底からなんとも言えない気持ちが込み上げてきているのを感じていた。だがそれを諭すように。

「 でも、ここで貴方を戦わせる訳にはいきません。」

「 何故ですか?」

「 周りをよく御覧なさい。大きな力のぶつかりが、時空に歪を生じ始めました。いづれここも崩壊してしまう位に力が増してきてるのですよ。そんなところに新たな力が加われば、時空そのものを破壊し尽してしまいかねないのですよ。現世にもその影響が及ばないとは言い切れませんからね。」

その言葉に魔神は反応を見せていたが、それとは反する自分自身の気持ちの高揚が感じられていた。鈍く光を発し始めていた魔神のリミッターがそこにあった。



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