カットの声がかかるまでがとても長く感じた。周りの人達
を引き込んだ光景は、監督のカットの後も余韻を残した。
「 どうだった、たかし?由紀の気持ち分かってくれた?」
それは劇中の役に対しての感情の事なのか、それとも由紀
自信が役の立場になっての感情なのか、僕には掴めないで
いた。
「 かなり思い切った事したわね。由紀の今の気持ちが十
分伝わってきたわ。でも私も由紀には負けない。」
「 玲ちゃん・・・・。由紀だって玲ちゃんに負けないし
それに他の人にだって譲らないんだから。」
それは女同士分かり合えていたのか、僕には高等な感情で
分からなくなっていた。まだまだ人の気持ちを推し量る術
が未熟な僕にとって難しい由紀の投げかけだった。
それを簡単に理解する玲子さん。僕にとっては未知な体験
だけに言葉が出てこなかった。
「 たかしはこんなに思われてる事にどう感じてるのかな?
さあ、どうなんでしょうか?」
玲子さんが僕が困っている事に気づいてなのか、その言葉
は今の僕にとってわざと意地悪したように感じていた。
「 い、いや~・・・・。どう考えても俺にそんな魅力は
無いでしょう?2人とも僕をからかってるんだ。」
その言葉は今言うべきではなかったかもしれない。
「 ・・・・たかし、それ本気で答えてる?もしそうなら
減滅だな。こうして2人が本気で言ってる言葉が嘘に聞
こえるの?ねえ、それって本気なの?」
思わぬ玲子さんの切り返しの言葉に僕は、しまったと思う
気持ちと後悔の念が出来ていた。