悠然と構える玲子さんだったが、実は内心とてもドキドキ
していた。これまでの思いにプラスして僕の力が目の前で
注がれていたから。足はガクガク今にも崩れてしまいそう
だったが、今言ったように役者としての玲子さんが辛うじ
て支えていた。小畑さんはそれに気づいていたようだった
が、玲子さんの表情を読み取って声を掛ける事はしなかっ
た。
「 由紀、私はあなたには渡さない。」
「 玲ちゃん・・・・。由紀だって本気。玲ちゃんにも他
の人にも絶対渡さないんだから。」
そんなやり取りも束の間、撮影は再開される。
午後の撮影も難なく撮り終えて本日の最後のシーンに入る
所だった。
「 由紀さん、こんにちわ。ちょっと話聞かせてもらえな
いかしら。監督が居るからなかなか取材ができないのよ。
ちょっとでいいからお願いできないかしら?」
「 ・・・・・今は忙しいので。すみません。」
「 いいのかな?神崎君だっけ?彼の事でちょっとした話
持ってるんだけどな。取材に答えてくれたら聞かせてあ
げてもいいんだけど?」
意味深な問い掛けをする女性記者が由紀に近づいて取材を
試みようと、僕のネタを使って接近していた。
「 ・・・・・なんなんです?たかしの事って。」
「 それはね、ちゃんと答えてくれるなら教えてあげるわ。
交換条件って事。いいかしら?」
由紀は興味を持っていかれていた。それは今後の撮影に影
響するものなのか・・・・・。