撮影に向けて心の準備する。まずは集中しないとと思いな

がら。ただ玲子さんの言葉が心に引っかかっていた。

「 さあ、みんな準備は出来たか?撮影始めるぞ。」

監督からの声が飛ぶ。周りのみんなはその声で静まり返る。

なんとも言えない緊張感が走る。

そして、撮影シーンが静かにスタートする。

それは最後のシーンにつながる重要な場面である。

幾多のトラブルや行き違いなどを経験して、やっとここま

で辿り着いた。そんな2人の思いの込められたシーン。

「 和也、これから2人で歩いていくんだね。」

「 そうだね。色々あったけど、やっとここまで来たんだ。

 これからも何かとあると思うけど、絶対に後悔しない活

 き方をしよう、遥。」

「 そうね・・・・、なんかちょっと重い感じがするんだ

 けど。」

「 こんな時に茶化すなよ。」

「 ごめん・・・・・そうだね。和也とならずっと一緒に

 いられる。そう確信する。」

そっと2人の手がつながる。お互いの顔を見合わせて笑顔

が覗く。そして歩き出す・・・・・となるとこだったのに

ここで玲子さんのアドリブが入ってきた。

「 和也、私はこれからあなたの為に生きていきます。あ

 なたもこれから私の為に生きてくれると信じてます。改

 まって言うのは恥ずかしいけど・・・・・好きです。大

 好きです。」

そして玲子さんが僕の顔に両手でそっと包んで、僕の顔に

近づき・・・・・キスをする。それはさりげない簡単なキ

スではなく、深い愛情のこもった大人のキスだった。




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