玲子さんは鏡越しに小畑さんを確認する。
「 直ぐに用意します。」
玲子さんは小畑さんに告げる。
「 そうか、じゃ先に行ってるぞ。」
小畑さんは玲子さんの言葉に答えるだけだった。玲子さんの
異変に気づく事はなかった。
「 さあ、ちゃんとやらなきゃ。たかしにもみんなにも迷惑
かけられない。」
女優としての玲子さんがそこにあった。
恥じらいを押し隠しバスから降りて現場に戻る。近づく度に
ドキドキが早くなるのを感じながら。
そんな事とも知らず僕は現場で由紀と喋っていた。
「 玲ちゃん!もう直ぐ始まるよ。」
「 うん・・・・分かった。」
玲子さんは今にも爆発しそうなドキドキに耐えながら、僕に
向かっていた。僕が不意に声をかけた時。
「 玲子さん、この後もよろしくお願いします。」
「 きゃ!!ごめんなさい。」
玲子さんは溜まらずその場から走り去ってしまった。
周りのみんなはそんな状況に驚きを見せていた。
「 ど、どうしたんだろ?急に謝られても・・・・。」
「 たかし、玲ちゃんに何かしたの?」
「 な、何もしてないよ!?俺にも分かんないよ。」
小畑さんが走り去った玲子さんを追って行った。