ただ時間の過ごし方を知らない私は、ひたすらに本を読み
あさっているに過ぎなかった。特にそれが好きだと考えた
事は今までも思ったことは無い。何かに集中して周りの環
境に溶け込んで私自信の存在を消していたかった。干渉さ
れるのが私が嫌だったから。
「 愛奈、私好きなものは無い・・・・。」
「 そっか・・・・・。なら、私が夢那の好きなもの見つ
けてあげる。」
そう言って愛奈は私の手を取り、来たばかりのバスに乗り
込む。バスの最後尾の席が空いていた。そこに2人して座
る。窓側に愛奈が座り、私はその隣。
動き出すバスの中で愛奈は、話の続きをする。私は話しに
耳を立てながら別の事も思っていた。どうして急に私の事
に一生懸命になっているのだろう?今までだって私の事に
関心が無かったのにどうして?などと私の存在を今更なが
ら確認するようになった周りの環境。愛奈自信どう思って
の事なのだろう?分からないまま話を聞いていた。
「 ねえ、ほらあそこ見て。私ここから見える景色が好き
なんだ。夢那はどう?どこか好きな場所ってある?」
「 ・・・・・私は特に無い。」
「 そう?ならあそこはどうかな?もう直ぐ見えるところ
も私のお気に入りの景色なんだ。バスに乗ったら見える
ように窓側に座るの。」
「 ・・・・・そう、私は今までも景色なんて気にしてな
いから。」
私自身が景色と同化してしまう位、私の存在を消してきた
から、景色がどうとか言われても私自身には響く事は無か
った。