松本さんと愛奈と下駄箱の場所まで行く。松本さんは私
を笑顔で見送ってくれていた。
「 源さん、また明日ね。バイバイ。」
「 ・・・・うん、バイバイ。」
初めての出来事で私は気持ちの整理が出来ないでいた。
そんな私の手を引いて愛奈と学校を出る。
「 もう直ぐバス来るから、急ご。」
「 ・・・・・うん。」
気持ちの整理の付かないまま愛奈とバス停。愛奈は私に
一生懸命話しかけてくれる。だが、私は考えが全然追い
ついていなかった。
「 ねえ夢那、帰ったら見てもらいたい物あるんだ。」
「 ・・・・・・。」
「 私のお気に入り。私が心奪われた物。」
「 ・・・・・・。」
「 夢那にも気に入ってもらえたらな・・・・。」
「 ・・・・・・。」
「 ねえ夢那、夢那の好きなものってあるの?」
「 ・・・・・・。」
私と愛奈、お互いが一番近い存在なのに何も知らない。
好きな物?そう言われても私自身、好きになる物は今ま
でも無いし、考えもした事なかった。
しいて言うなら本を読む事位。1人で居る時間、テレビ
を見たりする事は無いし、時間の過ごし方と言ったら、
幼い時から本を読む事だけだった。