行動を開始して5分、目的の地点に到着。目撃をされた人物が一人、その場に座り込んでいた。何もするでもなくただ座って空を眺めていた。

「 目的地到着、これより行動開始する。」

『 了解、くれぐれもへまをしないように。』

「 なんだよ、まだ言うか?へまはしね~よ、見てろて~の。」

『 その言葉覚えておくよ。』

「 け、いい加減認めろよ。俺の方が強いって事。」

『 ほう、そう言って今までの勝敗を言いましょうか?』

「 結構です!任務に集中する。へまはしね~からな。ちきしょう!!」

苛立ちを抑えて任務に移る。そこはエージェントとして訓練されてきた成果なのか、それとも元々持ち合わせた能力なのか。鋭さを増した眼光で、獲物を狩る豹の様に慎重に体制を低くとり近づく。

「 ま、今回は失敗しないでしょう。本当の目的は別にありますからね・・・・。これ位は一人でこなしてもらわないと。私は私で準備を始めましょうか。」

魔神は神童とは別に行動を開始していた。別の目的とは・・・・。この依頼を受けた時から違和感を覚えていた魔神は、自分の情報網を使い独自に調べを進めていた。魔神はこの組織の中でも特殊な存在であった。独自のルートをいくつも持つ事を許されていた。それは彼の能力と言うべきか、別の特殊な存在である事の特権と言うべきか。そのパートナーとしている神童もまた特殊な存在であった。この2人の生い立ちはエージェントの中でも秘密にされていた。真実を知るものはただ一人、この組織の元帥と言える者だけであった。

「 さてと、簡単に済ませてもらおうか。」

抜き足で進んでいたが、やはり相手は只者ではないようであった。気配を消していたのにも関わらず、眼孔が向けられてた。

「 おっと、もう気づかれるとは・・・・、これは普通の奴じゃ荷が重いって事か。なるほどね、俺達の出番て事だな。さてどう片付けようか。」

空を眺めていた時の青年の顔つきが一変していた。まるで野獣の顔つきで、人の顔をしていなかった。つりあがった眼孔で、威嚇するように口が大きく裂けていた。発する言葉は無く、威嚇する猫の様に髪の毛が逆立っていた。それは人間の状態であった青年をさらに変貌へと導く始まりであった。

「 なるほどな、こいつ魔が宿ってるのか。そうと分かれば対処は1つだな。・・・・おい、お前!今のうちなら優しく葬ってやれるぞ、そいつの体から出ろよ。俺が本気を出したら跡形もなくなっちゃうぞ。どうだ?」

( なにを言ってるんだ!?俺はこの世界でゲームしてるだけだ、邪魔するな!)

「 こいつテレパシーか。ゲームだって!?人を殺したりする事がゲームかよ。」

( そうだ、純粋なゲームだ。楽しんで何が悪い?それにお前は誰だ俺の言葉が分かってるのか?)

「 そうだな、お前の声なんか聞きたくなんかね~けどよ。俺には聞こえちまうんだ。」

( お前も特別ってやつか。只の人間ではないようだな・・・・。だが俺の邪魔をするとなると、お前を殺して続きをするぞ。俺の本当の姿を見たら最後だぞ、今なら見逃してやる。どうだ?)

「 俺と取引しようってか?100万年早え~よ。とっとと済ませるぞ。」

( 後悔するなよ・・・・。私を本気にさせてしまった事を。)

「 するかよ、本気になるんならさっさと成っちまえよ。こっちもその方が好都合ってもんだ、奴に俺一人でも出来るってとこ見せてやれるからな。」

青年の体は、虫が成長して殻を破り出るように抜け殻と化していた。しかしその姿は普通の人では見えない。アストラルボディ(霊体)高次元領域の存在であった。この世界に留まる為に青年は利用されていただけに過ぎなかった。


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