現場に入っても遠藤さんは、周りの事を気にしていない素

振りで撮影をこなしていた。

「 遠藤さんってホント強いわね。」

「 そうですね・・・・。」

「 神崎君、紺野さん、遠藤さんはあなた達が思ってる程

 強くはないよ。」

傍に現れたのは河野さんだった。

「 河野さん、昨日はちゃんと仕事に行けましたか?」

「 神崎君、君のおかげで仕事のきっかけを失わずに済ん

 だけど、やっぱり気持ちは体に現れたよ。昨日仕事が終

 わると、遠藤さん倒れたんだ。」

「 え、倒れたんですか!」

「 彼女も弱い部分があるんだ。やった事は悪い事だ、だ

 けど分かってやってほしい。」

「 ・・・・僕がやった事って。」

「 今は誰が悪いって言えない。でも、神崎君には、遠藤

 さん本人も感謝していたよ。」

河野さんと僕は撮影の合間に暫らくの間話を続けた。

「 でも彼女がした事は許される事じゃないと思うわ。」

「 それはそうだけど、玲子さん、僕はそれでも遠藤さん

 の事をもう少し見守ってあげたいんだ。彼女の演技は紛

 れもなく本物です。今までの行いでダメになった人達の

 為にも、今後の仕事で返してもらわないと。」

「 たかしはホントに優しすぎる・・・・。この世界優し

 いだけじゃダメになるわよ。」

玲子さんにも言われてしまった。でも、事の本質を知って

いるだけに僕は強く言えなかった。


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