僕自身も驚くほどの笑顔が遠藤さんを包んでいた。その眼差しは

遠藤さんを優しく捕らえていた。遠藤さんは硬直したようになり

動きが無かった。

「 遠藤さん大丈夫ですか。僕はあなたに返す言葉が見つかりま

 せん。・・・・僕自身一人の人を想った事が無いから。そこま

 で真剣に想える人。今でも分かりませんから。」

遠藤さんは僕の話を聞きながらも微動だにしない。僕の言葉が

続く。

「 いいですよね。人をスキでいられるって事。キライになる事

 は簡単ですよね。その人の嫌な所を探せばいいんだから。スキ

 な事とスキで居られる事は難しい・・・。」

「 神崎君は普段からそんな事考え持ってるんだ。ふ~ん。意外

 だな。もっと単純だと思ってた。スキかキライかハッキリして

 ると。」

戻ってきた冴島さんだった。遠藤さんの表情はまだキョトンとし

ていた。スキだとハッキリ言っていたのに、まるでスッポリとそ

んな感情が抜け出てしまったような感じだった。

「 ん?どうしたんだい。遠藤さん?ホントに大丈夫?」

冴島さんが遠藤さんに近づき抱え起こすのだったが、全然なにも

感情がないような様子ですんなり起き上がった。

「 私・・・・、私何してたんだろう?あれ?あれ?なに?」

「 遠藤さん?ちょっと落ち着こうか。」

僕の力は制御できていたと思う。それだけに今回のような初めて

のリアクションにどう接したらいいのか。遠藤さんの気持ちの変

化が分からない2人だった。


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