「 神崎君大丈夫かい?さあ立てるかな。」
「 僕は大丈夫ですよ冴島さん。それより前田さんをお願い
します。僕は後でいいですから。」
「 そうだね。この場は女性が先だね。じゃ先に連れ出すよ。
すぐに戻ってくるから。」
「 はい、前田さんをよろしくお願いします。」
「 神崎君、先に行ってるわね。」
冴島さんは前田さんを抱えて外に連れ出してくれた。残った
僕と倒れこんだままの遠藤さん。僕は遠藤さんに声をかけた。
「 遠藤さん、こんな結果になってしまいましたが・・・、
僕はあなたを訴えたりしませんよ。心配しないで下さい。
映画、いいものにしましょうね。」
「 ・・・・あなたはどこまでお人好しなの。こんな事した
私を許そうと言うの。ホント、バカね。私はあなたをこの
世界から消そうとしたのよ。そんな私を・・・・。」
遠藤さんの目には溢れ出した涙でいっぱいだった。僕の気持
ちはすでに穏やかになり、すべての経緯をしった事で許す気
持ちで満ち溢れていた。
すると自然と体の自由が利くようになっていた。体を動かし
手を握り締め、動く事を感じていた。
僕は遠藤さんの傍まで近づいていった。遠藤さんはその場に
泣き崩れていた。
僕は遠藤さんに手を差し伸べて起こそうとした。すると最後
の抵抗なのか、駄々っ子のように手をばたばたとして払い退
ける。その手が僕の顔に当たりメガネが弾け飛ぶ。
それに気づいた遠藤さんが僕の顔を見上げていた。