僕と玲子さんは黙ったままの時間が続いた。そしてその時がきた。
「 それでは準備してください。まもなく再開します。」
今までに無い感覚に包まれていた。玲子さんはボソッと呟いて
スタジオに向かった。
「 これが最後かも・・・・。」
僕はその言葉に心を掴まれてしまった。向かう足が重く感じる。
玲子さんに心情を聞く訳にもいかず、僕の心も向かう度に重く
なってゆく。
「 それでは本番再開します。」
セットに戻ると、今までの様子が変わっていた。セット事態も
街のカフェをイメージした物に変わっていた。
そんな中でカメラが僕達を映し出す。第一声は玲子さんから。
「 たかし・・・。話があるの。」
玲子さんの言葉が僕の心に響く。それに実名での呼びかけ。
本気の演技に入っているのか、それとも本気の別れなのかと
僕自身も分からなくなっていた。そして言葉が続く。
「 今日呼んだのは・・・・、たかしと別れようと思ってるの。」
「 玲子さん・・・・。なんで、なんで別れるの?」
「 このままだと、私。・・・ダメなの。」
「 何がダメなの。そんなんじゃ分かんないよ。俺の何が・・・
悪いとこがあったら言ってよ。直すからさ。」
「 そんなんじゃないの。私が悪いの。たかしは何も悪くない。」
「 玲子さんは悪くないよ。何が悪いって言うんだ。」
本気とも取れるやり取り。僕自身も演技なのか分からないこの
やり取りに本気をぶつけていた。