由紀の右手が僕の左手の手首を握り、後ろに下がるはずだった

僕を止める。僕はエッて思うと同時に由紀がグッと力を込めて

左手を下に引っ張った。僕は不意だった為、感単に体勢が崩れて

由紀に近づいてゆく。由紀はこれを狙っていたようだった。

体勢が崩れた僕の顔と、由紀の顔が近づいていった。

みんなの目の前で唇が交差する。

すぐさま由紀は僕の顔を両手でふさぎ、そのまま僕のメガネに

手をかけてすぐさま投げ捨てたのだった。ソロパートが始まる

までの間奏の出来事だった。

周りは驚いていたが、圧巻だったのは由紀。体勢を直してソロを

続けていた。曲は止まらない。気づいたのは恵梨那と前面にいた

メンバーだったが、振りを止める事はなかった。

カメラも回り続ける。ストップがかからない以上僕自身も振りを

止める訳にいかなくなった。メガネが無い状態で続ける・・・・。

この後どうなるのか? 

続くのはこの後、恵梨那と由紀がポジションを変えて僕と向かい合う

場面がくる事だった。

僕は振りを続けながら、恵梨那と向かい合った。数秒間の間、僕達は

見つめ合ったままになり、僕が恵梨那を抱き寄せるような振り。

そして腰に手をやり、そっと離れてゆく・・・・はずだった。

今度は恵梨那が僕の手を取り離れない。恵梨那の目は潤んだ瞳。

恵梨那のソロパートが終わる。歌は途切れる事無く続く。



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