「 私の事はもう、いいんです。ごめんなさい。」
来栖さんはそう告げて、その場から走り去ってしまった。
「 来栖さん、待ってください。」
恵美は僕を睨みつけた後、来栖さんの後を追った。
僕は独り言を言いながら、その場で考えていた。
「 俺だって、どうしたらいいのか分からないよ。」
「 あらあら、プレイボーイさん発見。なに悩んでるのかな? 」
そこに現れたのは前田さんだった。
「 前田さん、茶化さないでください。」
「 あら、茶化してなんかないわよ。本当の事じゃない。でも、ま、
それもあなたの力でだけどね。」
「 だからですよ、悩んでるのは。ホントに僕をスキになった訳じゃ
ないって思ってしまうと。」
「 あら、それはこの前も言ったと思うけど、きっかけはそうかも
しれないけど、ホントの君が見えた時、スキキライは結果的に出ると
思うわよ。それに、さっきの来栖さんの態度見てて思ったわ。あながち
今私が言った事、外れてないって。」
「 そういえば・・・。そうなんですかね? 」
「 そうよ、今までの子だったら、自分から引くって無かったんじゃ
ない? どう? 」
「 それは、そうかもしれないけど。誰を選ぶって言われても。」
「 そうね、それはあなた次第ね。そんなに焦らなくていいと思うわよ。
人生の先輩として言わせてもらえば、まだまだ若いんだから、経験を
積みなさい。自ずと結果は見えてくるものよ。仕事も恋愛も。」
前田さんの言葉で、また気持ちが落ち着いた。