「 ねえ、たかし。メガネ外してこっち向いてよ。いいでしょ。」
不意に伸びた手を僕は、叩いてしまった。
「 痛い! たかしなんで?そんなに嫌なの?それともホントは由紀の
事が嫌なの? 」
「 いや、そんなんじゃないいんだ。ごめん。メガネは勘弁してよ。」
「 なんで、ないほうが絶対いいって。だから、外してお願い。」
大変困った事になった。メガネを外して撮影なんてできないよ。そんな時。
「 由紀ちゃん。ごめんなさいね。神崎君は理由があって外せないのよ。」
前田さんがフォローに入ったが、由紀は理由を知らないだけに、そんな言い方
すると、余計に悪くなるのではと思った。僕の嫌な予感は当たった。
「 なになに、その理由って。由紀知りたい。教えてくれないなら、
もうできない。教えてくれるまで、撮影に入らない。」
「 由紀何言ってんだよ、自分の歌の仕事だろ。こんな事位で、やらない
なんて言うなよ。」
「 なら、こんな事って言うくらいだから、話せるよね。教えて。」
由紀の方が一枚上手だった。僕はどう答えればいいのか困った。
「 由紀、実はね・・・。僕は極度の上がり性なんだ。だから、人の目を
直視できないから。メガネでごまかしてるんだ。だからごめん。外すのは
勘弁してよ。」
とっさについた嘘だった。由紀には悪いと思ったが、本当の理由なんて言える
訳がなかった。疑るような様子を見せる由紀だったが。
「 ふ~ん。そうなんだ。もっとすごい秘密でもあるのかと思ったのに。」
意外に信じてくれた。ただ僕はその一言にドッキとしていた。