「 お侍さん、どうしたらそげに強くなれる? 」
「 なんだ、強くなりたいのか。」
「 こんなとこ早く離れていんだ。だども、強くなきゃ生きてけね。」
「 そうか、ここを離れたいのか。ここはお主の故郷ではないのか? 」
「 誰も居ねえとこ、故郷と思っちゃいね。おとうもおかあも小さい時に
殺されたんだ。敵も討ちてえんだ。」
かなり苦労を重ねてきたのであろう。気持ちをハッキリと持っている。
「 お侍さん、邪魔はしねえからおらを連れてってくれねえか。」
「 それはできん。私一人でも、いつ野たれ死ぬかわからん。そんな
とこにお前まで来るとなると、面倒見きれん。」
「 そこをお願いします。おら、食べ物の調達はうめえど。だから
なあ、連れてってけろ。邪魔さしねえからさ。」
「 駄目だ。めしの事はありがたく思うが、連れてくことは出来ん。
諦めろ。」
「 ・・・・。」
幼子は黙ったまま泣いていた。めしを済ませて、今日はここに厄介に
なった。幼子は床に着いても泣いていた。
早朝早々と、旅支度を済ませて小屋を出た。
幼子はその時まだ、寝息を立てて寝ていた。泣き後の残る寝顔であった。