「 たかし、あのね・・・。ちゃんとしたキスがほしいの。」

「 キ、キッス?え、由紀・・・・。本気で?」

「 女の子に何度も言わせないの。そうキス。あの時のキスって

 ハッキリ由紀も覚えてないの。なんとなくしか覚えてなくって。

 だから、ねぇ・・・。」

抱きしめたままの由紀が顔を僕に向けて目を閉じる。

ここで断ったら、由紀を傷つけてしまうと思い込んでしまった僕は

決心した。そして由紀と僕の唇が重なる。

「 ありがとう、たかし。うん、これで仕事ガンバレるよ。」

「 そう、よかった・・・・。ホントにこれでよかったのか?」

由紀はもう平然とした様子だった。

「 そうだ、今度ね私の仕事手伝ってくれない? 」

「 仕事を手伝うの?でも、俺歌とか歌えないよ。」

「 たかしの歌?違う違う。あ、でもそれいいな。たかしの歌聞きたい!」

「 それはできません。それよりどんな事?」

「 それはね、今度新曲が出るんだけど、そのPVに出てもらいたいの。」

「 PV?て、なに?」

「 たかし知らないの?プロモーションビデオよ。イメージビデオてとこ

 かしら。ドラマのように撮影するからさ、それに出てくれないかな。」

「 そんなの勝手に決めれないよ。前田さんに聞いてみないと。」

「 それは大丈夫。なんてたって私が主役なんだから、キャスティングは

 決めれるのよ。小畑さんには話もうしてるから。」

由紀は初めからこれが狙いだったようだ。キスまでは予定外だったようだが。

それはホントか定かではない。


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