由紀の携帯が鳴る。だが、すぐに出ようとはしていない。由紀はひとり

ビルの屋上に座って、物思いに耽っていた。少し前の記憶を元に・・・。

「 たかしからか・・・・。さっきはマネージャーから・・・・。」

いつもの明るい由紀ではなかった。僕の病室で見せた由紀の寂しげな横顔。

強がっていた自分を少し後悔したような、面持ちでいた。

僕からの携帯電話の着信音。自分の好きな曲にセレクトされていた。

いつもなら明るい曲だが、今日はそんな曲さえ切なく聞こえる。

しばらく考えて、3度目の携帯着信音で携帯をつなぐ。

「 はい、由紀です。たかし・・・おはよう。」

『 由紀どうしたんだ。携帯に出ないから心配したよ。関さんも探してる。

 今どこにいるの?』

「 うん、ちょっとね。考え事してたの。今居るところは、病院の屋上よ。」

『 病院!? じゃ、僕の傍に来てたんだ。今からそっちに行くよ。』

「 たかし・・・・。」

由紀の声は、かなり声は落ち込んでいた。

『 なに? すぐそっちに行くから。待ってて。』

「 たかし、関さんには言わないで。お願い。」

『 なんで? ・・・・分かった。じゃ、ひとりで向かうよ。』

「 うん、待ってる。」

由紀の心情は今は分からなかった。僕はゆっくりとだが由紀へと向かった。

その間も由紀は空を見上げて、物悲しくただベンチに座っていた。



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